翔さんの甘え方

「翔さん、見て?買っちゃった!」

 トイレに行ったすずちゃんが戻ってきたら、何故か水着になっていた。赤い生地にドットが入っていて、胸元にはリボン。とても可愛いしすずちゃんに似合っている。

「すごく可愛いよ」

 すずちゃんの手を引き膝の上に座らせて微笑むと、すずちゃんは嬉しそうに顔を綻ばせた。

「今度サークルのみんなで海に行くんです。昨日香穂と水着買いに行ったんですよ」
「そう。楽しんできてね」
「うん!いつか翔さんとも行きたいな」
「そうだね。結婚する前に一回は行こうか」

 胸に抱きついてくるすずちゃんを抱き締め、頭を撫でる。すずちゃんがこうやって俺に甘えてくる時が一番幸せ。すずちゃんの甘い匂いを吸い込みながら頭に頬を寄せた時、不意にすずちゃんが体を離した。

「そういえば、昨日香穂と言ってたんですけど」

 香穂ちゃんの彼氏は年上で、とても甘やかせ上手らしい。たまには甘えてほしいな、と香穂ちゃんが言っていたらしく。

「そういえば翔さんも私に甘えてくれたことないなぁと思って。だから今日は甘えてください!」

 その発想が可愛くて仕方ないってこと、すずちゃんは気付いてるのかな。

「甘える、か。どうすればいいんだろう」

 人生で甘えるということをしたことがない。いつもすずちゃんがしてくれるようにすればいい、……のか?

「翔さん、はい!」

 すずちゃんは満面の笑みで腕を広げる。この子は今自分がどんな格好をしているか分かっているのかな。甘えるっていうより、他のことがしたくなってきたんだけど。ムクムクと湧き上がる欲望を笑顔の裏に隠し、俺はすずちゃんが言う通り胸に頬を寄せた。すずちゃんの穏やかな鼓動が薄い布に遮られた肌から、耳を伝って心臓に流れ込んでくる。すずちゃんは小さな手を俺の頭に回し、ぎゅっと抱き締める。うん、何となく。悪くないかも。

「翔さん、いつもこうやって頭撫でてくれるでしょ?これ大好きなんです」

 すずちゃんは俺の頭を優しく撫でる。目を瞑ればすずちゃんの体温と香りと感触に包まれて。甘えるってこういうことなのかなって疑問は残るけれど、幸せを感じた。

「翔さん、いい香り」
「すずちゃんには負けるよ」
「何だか可愛い……」
「そう。こんなことしても?」

 水着の前のリボンを、噛んで解いてやる。すると色の変わった部分が現れて、そこに舌を這わせた。

「んっ、ダメ、です」
「どうして?」
「今日は、私が翔さんを、甘やかすのっ」
「甘えてるよ。こうやって、俺のしたいことしてるから。ね、すずちゃんはしたくない?」

 生地を噛んで胸を露出させる。舌を出してあえてゆっくりと、いやらしく舐め上げればすずちゃんは真っ赤な顔で、でも食い入るように見ていた。

「うっ、か、けるさんの、いじわる」
「意地悪?じゃあやめる?」
「っ、やだぁ……っ」

 ああ、もう本当にたまらない。せっかく水着を着ているのだから、今日は存分に堪能させてもらおうかな。他の男に見せる前に、俺が。
 かぷりと柔らかい肌を甘噛みする。そしてそこを舐め上げれば、すずちゃんはビクンと体を震わせた。見えるところに痕をつけると怒られるけど、見えないところだといいよね。胸の下の、生地で隠れる部分に吸い付く。
 俺に抱かれる時、すずちゃんの体は全ての刺激を快感として受け入れる。吸い付いた時のかすかな痛みにも、すずちゃんは甘い声を上げた。

「すずちゃん、水着汚れたら困るね」
「ん、んん」

 パンツだけを脱がし、スカートは履いたまま。全裸もいいけどいやらしくて癖になりそう。ソファーに座らせ大きく脚を開かせる。あまりに卑猥な光景に、俺は思わず喉を鳴らした。
 指をすずちゃんの口に入れ、舐めさせる。俺は床に座り込みスカートをめくった。

「もう濡れてる。ほら、聞こえる?」

 もう一方の人差し指で中心に触れれば、くちゅくちゅといやらしい音が聞こえて。すずちゃんは顔を更に真っ赤にして、それでも俺の指に舌を絡ませた。指を口から抜いて、ピンク色の乳首にすずちゃんの唾液を塗り付ける。いやらしいな、ほんと。その光景を見つめながら、下半身に舌を這わせた。

「あっ、んんっ」

 次々に溢れてくる蜜を舌で掬い、上の突起に塗り付け吸い上げる。すずちゃんはこうされるとすぐにイッてしまう。乳首を弾き、突起を吸い上げて。俺の頭を押さえつけるようにしてイッてしまうすずちゃんを、熱い瞳で見つめた。

「すずちゃん、挿れるよ」

 ビクン、ビクンとまだ体を跳ねさせているすずちゃんの熱いそこに自身を宛てがい挿入していく。包み込むように、離さないように、すずちゃんの中は俺を締め付けてきて。あまりの気持ち良さにぎゅっと目を瞑った。

「あああんん、か、ける、さん」
「はぁ、すずちゃん、愛してる」

 唇を重ね、舌を吸う。首に手を回し抱き付いてくるすずちゃんの体を抱き締めながら、俺は腰を打ち付けた。こんなにいやらしい体を他の男に見せるなんて、心配だな。真っ赤に色付いた乳首も、吸い付くような内腿も、真っ白な汚れを知らない肌も。俺しか知らない、すずちゃんの体。唇を離し、すずちゃんの胸を吸う。きゅう、と更に締まる中を俺は堪能した。

「……ねぇ、すずちゃん」

 ギシギシとソファーが軋む。クーラーが効いているのに暑い。すずちゃんと触れ合っている部分が、燃えるように熱いのに心地いい。

「水着着たら俺に抱かれたこと思い出すかも知れないけど」
「っ、」
「いやらしい顔しちゃダメだよ」
「ほんと、意地悪なんだから、」
「そんな俺は嫌い?」

 ふるふると首を横に振るすずちゃんの気持ちいいところを突きながら、すずちゃんの頭を撫でる。いやらしい音を響かせながら行為に溺れていって。頭を抱くすずちゃんの胸の中で、俺は熱い吐息を洩らして一番奥に欲を吐き出した。

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