やさしいひと

 最近すずちゃんと触れ合っていない。まぁ、忙しいから仕方ないんだけど。帰ったら見られるのは寝顔だけという寂しい状況だ。毎日一緒に入っていたお風呂も一人で入り、既にベッドで熟睡しているすずちゃんの隣で抱き締めて眠る。忙しいのは仕方ないし、無理するくらいなら先に寝ていてほしい。……でも。

「そろそろ触れたくて限界なんだけどな」

 耳元で囁くと、すずちゃんの体はピクンと揺れた。この前みたいに起こしたりしないよ。でも、手だけ貸してね?
 俺はジャージと下着を下ろし、緩く勃ち上がった自身を取り出した。扱きながら、すずちゃんの頬にキスをする。柔らかくいい匂いがして、俺のそれは更に硬くなった。

「はぁ……」

 熱い息を吐いて、すずちゃんの小さな手を起こさないようにそっと掴む。暖かい手にそれが包まれると、幸福感が俺を包んだ。
 愛してる。本当に。誰にも負けない。本当は、ここに監禁したい。何もしなくていい。もちろん就職だってしなくていいし、俺の店で働かなくてもいい。すずちゃんは俺のためだけに生きてほしい。……ま、そんなこと言わないけどね。すずちゃんが俺から離れる要素は少しでもなくさなくちゃ。智輝と中島くんはどうするかな。二人ともいい子だけど、すずちゃんを見る熱い目はそのままにしておけない。俺に抱かれてるすずちゃんを見せ付けたら、諦めるかな。だってすずちゃん、もう俺じゃないと感じられないくらいの体になったもんね。調教ってやればできるな。でも、ちょっと触っただけでいやらしく濡れるから、他の男に触らせないようにしないと。
 すずちゃんの手を上から握り、徐々に手の動きを早くしていく。ああ、すずちゃんの中に入りたい。でもしばらく体を重ねていないから、すずちゃんもそろそろ我慢の限界かも。すずちゃんがいやらしく求めてくるまで、後少し我慢しよう。
 そう心に決めて俺はすずちゃんの手を離し顔に近付く。そして。

「っ、イく、」

 すずちゃんの顔に、白濁をかけた。唇が、頬が、俺の白濁で汚れていく。ああ、たまらない。

「……さぁ、優しい『翔さん』に戻ろう」

 すずちゃんの顔を綺麗にして、すずちゃんを抱き締めて頬にキスをする。

「愛してるよ、すずちゃん」

 そう囁けば、すずちゃんは眠ったまま幸せそうに微笑んだ。
 ……欲望は全部、胸に閉じ込めて。俺は今日も、すずちゃんが離れられないように甘く優しく柔らかく、すずちゃんを大切にする。

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