甘いわがまま

 すずちゃんが酔っ払った。それはもうベロベロに。バイトの子たちとの飲み会で、俺がいたからよかったけど。

「かけるさん、すき……」

 そう言って俺の膝の上に跨り、キスを強請るすずちゃんは可愛い。可愛い、んだけど。みんな見てるのはいいのかな……?

「俺も好きだよ。ちょっと水飲みな」
「んっ、飲めない……。お腹いっぱいだもん」
「でも水飲まないとアルコール抜けないよ?」
「かけるさんとえっちしたら、酔いさめるもん」

 ……すずちゃん……。いつもなら気まずそうに目を逸らすような状況なのに、みんな泥酔してるからタチが悪い。おう、やれやれ、なんて言ってくる悠介を睨む。悠介、お酒弱いのに飲み過ぎなんだよ。

「エッチしたいの?」
「うんっ」
「俺もしたいけど、みんないるからできないよ。すずちゃん、今日は水飲んで寝なきゃ」
「やだ、かけるさんとえっちするの、気持ちいいもん」
「うん、嬉しいけどほんとにみんな見てるから……」
「かけるさんは、わたしとえっちしたくないの……?」

 この子は酔っ払っているのだ。すずちゃんの言う通りにしてしまったら、酔いがさめた後しばらく口も聞いてもらえないかもしれない。すずちゃんは恥ずかしがり屋さんだから。

「ここでやれ」
「髪の毛全部毟るよ悠介」
「減るもんじゃねーんだからいいだろうが」
「すずちゃんの可愛い顔見せるわけないでしょ。それに見てどうするの?」
「お前の情けない顔見たいだけー」

 ……ほんと、逆に髪の毛一本だけ残してやろうか。
 すずちゃんのキスが、触れるだけのものから深くなっていく。みんなはすずちゃんの背中側にいるから可愛い顔を見られることはないけど、どうするべきか。

「んっ、ちゅ、んん」

 俺の舌に吸い付きながらすずちゃんは自分の服のボタンを外し始める。それはダメ。本当にダメ。すずちゃんの手を押さえて制す。でも困ったことになった。俺に拒絶されたと思ったらしいすずちゃんが、みるみるうちに涙目になってしまったのだ。

「っ、すずちゃん、落ち着いて。泣かないでよ」
「うっ、だってかけるさん、わたしのこときらいなんでしょ……?」
「そんなわけないじゃん!好きだよ!大好きだよ!でもほんと、今は……」
「じゃあかけるさん、どうしてここおおきくなってるの?」

 すずちゃんの手が俺の股間を撫でて。俺は固まってしまった。

「へー。ふーん。そうなんだ。へー」

 悠介の反応にイライラする。智輝と久人もニヤニヤしていて、俺は深い深いため息を吐いた。

「すずちゃん、エッチしたいの?」
「うんっ」
「じゃあ寝室行こう。言っとくけどその気にさせたのはすずちゃんだからね。あと、覗きに来たりしたら……分かるよね?」

 三人にニコッと微笑み、俺はすずちゃんを抱き上げた。ほんとにいいのかなぁ。すずちゃん怒らないかなぁ。みんなのいるところでするなんて!って。怒ってるすずちゃんも可愛いからいいんだけど、口を聞いてくれなくなったりしばらくエッチ禁止とかは勘弁なんだけどな。頭の中でぐるぐる考えて、でも寝室に入ると開き直った。この際だからいつもは恥ずかしがってしてくれないようなことをさせてみよう、と。

「すずちゃんは本当にいやらしい子だね。みんないるのに俺とエッチしたいの?」
「ん、だって、かけるさんのことだいすきだから……」

 ベッドに寝かせると、すずちゃんは潤んだ目で俺を見上げる。可愛すぎてどうにかなりそうだ。
 すずちゃんの頭を撫でながらキスをして、耳や首筋を舐める。いつもより熱いすずちゃんの体は、ぶるりと震えた。

「じゃあ、自分で服脱いで?」

 俺の言葉に、すずちゃんは素直に従う。すずちゃんの下着は把握しているけれど、今日のそれが前に俺が好きだと言った黒だったから。もしかしてすずちゃん、酔う前から何か期待してたのかなって。俺も多少は酔っているから、興奮がいつもより高まる。ブラはそのままで、パンツだけ脱がせた。

「ね、自分で脚開いて」

 羞恥心も飛んでいるらしい。すずちゃんはいやらしい顔で脚を開いた。キスだけしかしていないのに濡れているそこを、すずちゃんの指で開かせる。いつもならこんなこと絶対にしてくれないから。さっきは困ったけど、酔わせるのも悪くないかな。そんなことを考えながら、俺はそこに息を吹きかけた。

「ね、どうしてほしい?」
「んっ、舐め、て……?」

 ほんと、癖になりそ。俺はおもむろにそこに舌を伸ばした。溢れてくる蜜を舐め取り、舌で突起に塗り付ける。ちょん、ちょん、と刺激したらすずちゃんは甘い声を上げた。でもまだ物足りないような顔。やってほしいことは分かるけど、今日はせっかくだからすずちゃんの口で言わせたい。

「してほしいことがあるなら言ってくれないと、俺分からないよ?」
「っ、ぅ、吸って、舐めて……」

 素直で可愛いすずちゃんの突起を、言われた通りに吸いながら舐める。ビクビクと震えるすずちゃんの乳首に手を伸ばし指で弾けば、すずちゃんは簡単にイッてしまった。

「ん、次は?」
「っ、ゆび……」
「うん、指を?」
「ここ、挿れて……」

 すずちゃんは俺の指を握って、自らそこに挿入する。期待以上だな。すずちゃんは俺の指を自分で動かし、気持ちよさそうに喉を鳴らす。されるがままと見せかけて指を折れば、気持ちいいところに当たったらしくすずちゃんの体が跳ねた。

「ん?どうしたの?」
「っ、そこ、気持ちい、」
「どこ?」
「んん、ここ」

 自分で俺の指を動かすすずちゃんは本当にいやらしくて、たまらないほど可愛い。すずちゃんが望んだように指を動かせば、すずちゃんのそこから潮が噴き出した。
 すずちゃんのどこが不感症なのだろう。こんなに感じやすくて、すぐにイッちゃうし、潮も噴いちゃう。いやらしい顔を見たのは俺だけだと思うと、ニヤニヤしてしまう。

「次はどうするの?」
「か、けるさん」
「ん?」
「なめる……」

 イッた余韻でぼんやりしたまま、すずちゃんは起き上がる。そして俺の自身を取り出した。熱い舌が下から這う。かぷりと口に含まれると、気持ちよくて熱い息を吐いた。

「はぁ、すずちゃん……」

 たっぷりの唾液を絡ませて、すずちゃんの小さな口から俺のが出たり入ったり。いつもより深く咥えながら、すずちゃんは自分の下半身を弄っていた。ほんと、エッチになっちゃって。誰のせいかな。……俺の、せいだな。
 じゅる、といやらしい音が聞こえるほど、すずちゃんは夢中で舐める。しばらくして、俺はすずちゃんをベッドに寝かせた。胸の上に跨り、胸に自身を挟ませる。すずちゃんの唾液でぬるぬると滑って気持ちいい。

「ん、舐めて」

 胸の間から出てくるそれを、すずちゃんは赤い舌でペロペロと舐める。はぁ、たまんない……腰を動かしながらすずちゃんの下半身を弄る。ほんと、簡単に潮噴いちゃうんだから。可愛いなぁ。

「すずちゃん、このままイッていい?」
「んっ、ん、だめ、わたしの中で、イッて」
「うん、分かってる。言わせたかっただけ」

 このまま顔にかけるのも悪くないけど。やっぱりすずちゃんの中が一番気持ちいいから。
 俺が寝転ぶと、すずちゃんは俺の腰を跨いで俺のを掴む。そして、そのまま腰を沈めた。

「んああっ、ああっ」
「っ、はぁ……」

 いつもより熱い。きゅうきゅうと締まる。すずちゃんがゆるゆると腰を動かすと、胸が揺れて視覚も夢中にさせられる。

「愛してる」

 俺がそう言う度に、中がきゅっと締まるの。すずちゃんは気付いてるのかな。

「んんっ、かけるさん、気持ちい」
「俺も気持ちいいよ」
「おっきくて、気持ちいいところ、当たるの」

 エッチな言葉を言う度に、すずちゃんの体がふるふると震える。もしかして自分の言葉で興奮してる?ほんと、エッチなんだから。

「ん、俺のこれ好き?」
「すき、だいすき……っ」
「じゃあいっぱいあげる」

 すずちゃんの腰を掴んで下から突き上げる。背を仰け反らせて感じるすずちゃんのそこからは潮が噴き出して。水音と、ベッドが軋む音、そしてすずちゃんの甘い声。全部全部、俺の欲望を刺激する。すずちゃんは俺の腹に手を置いて、ひたすら快感に耐えていて。

「気持ちいい?ね、すずちゃん。これが欲しかったんでしょ?」
「う、んんっ、欲しかった、の、気持ちいい、の」
「ほら、俺のがすずちゃんに入ってるのよく見えるよ。すずちゃんも見てみたら?」
「あっ、ああっ、はいって、る、えっちだよぉ……」
「ほんと、エッチだね。ああ、すごく締まる……」

 揺れる胸を揉んで、乳首を弾く。起き上がってすずちゃんを抱き締め、赤く色付く乳首を舐めた。すずちゃんは俺の肩に手を置いて腰を振る。何度も首筋や胸を舐めていると、すずちゃんは体を震わせてイッてしまった。

「……自分で動いてイッちゃったの?」
「あああっ、はぁ」

 ぶるぶると体を震わせるすずちゃんは本当に俺の声も聞こえていないほど感じているようで。……感じるのはいいけど、ちゃんと俺のことは見ててくれなきゃね?

「……すずちゃん、こっち向いて」
「っ、ああっ」
「俺のこと見て。じゃないと抜いちゃうよ?」
「ううっ、や、やだ、あ、かけるさん」
「ん、じゃあちゃんと、俺のこと見ててよ」

 すずちゃんの目の焦点が少しずつ合っていく。しっかりと俺が目に映った時。俺はすずちゃんを押し倒して激しく突き上げた。声も出せないほど感じているすずちゃんの手を握って、胸を寄せる。ああ、たまらない。

「あー、イキそ。ね、すずちゃん、イくよ?っ、はぁ、イく……っ」

 どくん、と奥に吐き出した瞬間。すずちゃんは背を仰け反らせて同時に果てた。

 次の日、すずちゃんは酔っ払っていたせいでよく覚えていなかった。裸で寝ていることも何故か分からないらしく、すずちゃんから求めてきたことを言って恥ずかしがるすずちゃんを朝から美味しくいただいた。もちろん悠介たちがまだ家にいたことは言わない。三人は俺たちがリビングに行く頃には空気を読んだように帰っていた。

「俺昨日いつ帰ったか覚えてない」
「俺もー、二日酔いで気持ちわりー」

 仕事中、そんな会話をする智輝と久人に安心した。悠介もきっと酔っ払って覚えていないだろう。俺だけの甘美な思い出だ。そう思ってニヤニヤしていたら。

「すずちゃんのせいにしてお前好き放題だったなー」

 悠介にボソッと言われて、血の気が引いていくのが分かった。……いつもすぐ忘れちゃうのに今日は何で覚えてるの。

「……ご飯奢るからみんないたことすずちゃんには言わないで」
「プレステで手を打つ」

 ほんっと性格悪いよね悠介って。でも弱みを握られた俺は何も言えず、悠介にゲーム機をプレゼントする羽目になった。

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