下着
いつものようにフロントで田所さんに挨拶してエレベーターに乗る。博也くんからはさっき仕事が終わってホテルに戻ったよと連絡が来た。
香月さんから貰った紙袋がかしゃかしゃと音を立てる。ていうかこれ……、いや、もう見ないようにしよう。
着いたとメッセージを送れば中からドタドタと走ってくる音がして、勢いよくドアが開いた。
「奈子ちゃんお待たせ〜!」
「博也くん……」
ぎゅうっと抱き締め合う。このまま抱き上げられてベッドに……というのがいつものパターンだけれど、今日はちょっと計画があるのだ。
「博也くん、私今日先にお風呂入りたい」
「なんで?奈子ちゃん全然臭わないよ?」
「違……、いや、あの、いっぱい汗かいたから汚いの」
「汚いわけないじゃん〜。お風呂入ったら奈子ちゃんの匂い消えちゃうからやだ」
「っ、私がやだ!今日は先にお風呂入る!お風呂入れないならえっちしない!」
「……っ!」
博也くんはこの世の終わりみたいな顔で私を床に下ろす。えっちしないって言っただけでこんなに絶望する?ちょっと申し訳なくなるけれど、今日はどうしても譲れないのだ。
「ごめんね博也くん。急いで入ってくるからちょっとだけ待ってて?あ、お風呂に入ってきてもえっち禁止にするからね?」
フラフラとベッドに座り込んだ博也くんを置いて、私は洗面所に走り込んだ。
無事にシャワーを浴び、全身綺麗になったことを確認する。そして髪も乾かして、さっき香月さんにもらった紙袋をちらりと確認。博也くん喜んでくれるかなぁ……
「博也くん?」
寝室に戻ると、博也くんはさっきと全く同じ体勢でベッドに座っていた。もう一度、博也くんを呼ぶ。博也くんは私を見て、またフリーズした。
「変、かな……?」
香月さんに貰ったのは、とってもえっちな下着だった。胸も下も、大事なところに布がない。そのまま触れるように切れ目が入っているのだ。
「博也くん……?」
「ななななななな奈子ちゃんそれ……」
「さっき香月さんがくれたの。この前のお詫びって」
「ゆきえグッジョブ……!」
ぐっと拳を握った博也くん。どうやら喜んでもらえたようだ。
「奈子ちゃん今すぐ襲いかかってもいいよね……」
「へっ」
さっきまでの落ち込みはどこへやら、突然元気になった博也くんはフラリと立ち上がるとギラギラとした目で私を捉える。こ、怖い……!
「ちょ、ちょっと待って??今日は、私がする日なの!」
「ええ〜、こんなえっちな奈子ちゃんに触れないの?」
「さ、触るのは、いいよ……」
博也くんが一歩で距離を詰めてきた。
「触っていいの?触って欲しいの?奈子ちゃん。えっちなこことか、触って欲しいの?」
「あっ、んぅ……」
綺麗な指が露出したままの乳首をくりくりと弄る。ぴくん、ぴくんと気持ち良さそうに勃ち上がった乳首。えっちな下着から見えているのがとても卑猥だ。
「奈子ちゃんのここも、せっかくこんなえっちな下着履いてくれてるんだから間近で見たいな……」
博也くんの右手が下半身に伸びる。その先に確実に身を震わせるほどの快感が待っているのが分かっているから流されそうになるけれど、今日はダメなの。