もう無理

 何だか穏やかな気持ちだった。身体はもちろん悲鳴を上げるほど気持ちいいし、大きい博也くん自身が中で動き回るのは苦しいんだけど。
 私の喘ぎ声と博也くんの荒い吐息、ベッドが軋む音と肌と肌がぶつかる音。何だか静寂の中に二人の奏でる音だけが響いてる感じ。セックスはいつも気持ちいいけど、こんなに二人きりなのを感じたのは初めてかもしれない。

「奈子ちゃん、なんか俺めちゃくちゃ幸せ」
「はっ、はぁ、博也くん、ぎゅってして……」
「ん……」

 色々な体位で獣みたいに交わって、身体中ぐちゃぐちゃで、それでも全く嫌悪感はない。ただただ素肌を合わせることが心地いい。

「んん、あっ、イく……っ」
「ん、俺も……」

 私は何度目か分からない絶頂。博也くんは2回目。パンパンパンパン、と強く腰を打ち付けられて、腰が止まったかと思えばぐっと押し付けられる。もし避妊具をしていなかったら、子宮の入り口に精子を塗り込むような、ねっとりとした射精。
 少し萎えたそれを取り出して、博也くんはコンドームを外した。入り口をきゅっと縛り、ティッシュに包んでゴミ箱に捨てる。

「奈子ちゃん……」

 くったりとしている私の背中に何度かキスをして、ベッドサイドのテーブルに置いてある箱に手を伸ばす。新しいコンドームの袋を破って、既にまた大きくなっている自身に装着した。

「お尻上げて」
「ひっ、も、無理……っ」
「やだ?奈子ちゃんが嫌ならやめる」
「らって、もう、からだもうごかないし、こえもでないぃ……」
「ん、わかった。先っぽだけでやめるね」

 腰を掴まれて、膝を立たされる。後ろから博也くんの自身が入ってきて、確かに先っぽだけ、入り口のところをぬちゅぬちゅと出入りする。はっ、はっ、と荒くなっていく呼吸。

「先っぽだけでも気持ちいい……」

 身体を倒した博也くんが耳元で囁く。同時に乳首をこりっと弾かれた。
 もう、無理なのに。身体は動かせないし、声も出ない。怠くて仕方なくて、きっと明日の仕事も辛い。なのに……

「やら、ひろやくん、いじわるしないで……っ」
「意地悪?」
「先っぽらけじゃ、やら……」

 博也くんの腰の動きに合わせて、ゆらゆらと腰を動かしてしまう。身体はもう動かないと思ったのに、溢れ出る欲望が突き動かす。博也くんがきゅっと乳首を摘んで、それだけでイキそうになった。

「辛くないの?」
「つらい、けど、このままイけないほうがつらい……」
「ん、じゃあ、どこ突いてほしいか言える?奈子ちゃんはどこ突かれたらいっぱい感じちゃう?」

 少しずつ、少しずつ深くなっていく挿入。でも足りない。まだまだ足りない。もっともっと、自分の指じゃ届かない、博也くん以外の人が触ったことのない、奥の奥。

「子宮の、とこ」
「子宮?赤ちゃんできるとこ?」

 ぶんぶん首を縦に振る。

「奈子ちゃんのこと、俺が孕ませたげるね」

 耳元で囁かれた次の瞬間、ずんっと一番求めていたところに来た。目の前に星が飛び散る。あまりの衝撃にか、は、と口からは変な声しか出なくて、苦しくてぎゅうっとシーツを握る。

「子宮の入り口いっぱいトントンしてあげる」
「っ、ふ、ひ、あ……っ」
「あは、奈子ちゃんアヘ顔してんじゃん。かわい……」

 顔を博也くんのほうに向かされて、キスをされる。口の周りは互いの唾液でべちゃべちゃになって、更に口内を舐め回される。

「孕んで、奈子ちゃん。奈子ちゃんの中、俺の精子でいっぱいにしたい……」

 欲望剥き出しの言葉にきゅんきゅんと子宮が疼く。必死でシーツを握って快感に耐える。お尻を揉みながらパン、パン、と激しく腰を打ち付ける博也くんの欲望はまだまだ尽きない。


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