寸止めされた昼間にリベンジ

「ヨリ」
「んっ」

 明るい日差しが窓から差し込むリビング。テレビからは日曜日の昼間特有の穏やかで賑やかな笑いが聞こえてくる。窓を開けたらきっと外の爽やかな風と共に子供の声なんかも聞こえるだろう。そんな中、後ろから抱き締められ胸を揉みしだかれる私。昼間から何してるんだろう、そう思いながらも脳が蕩けて仕方ない。立花の膝の上、大きく脚を開かされて。立花の手がブラをずり下げて、ぷるんと胸が飛び出した。

「俺の手に綺麗に収まるサイズだよね」
「……っ」
「ヨリの胸は俺に揉まれるためにこのサイズになったんじゃないかなぁ」
「う、るさ、んなわけ、ないでしょ、」
「あーあー、おっぱい揉まれただけで息も絶え絶えか」

 長い指がピンと勃ち上がった乳首を弾いて。私の体はピクンと揺れた。それを見逃さない立花は私の肩に噛み付く。甘く歯を立てられ痛くもないのにそこから侵食され熱が広がっていった。くたりと立花の胸に倒れ込んだ私の内腿を撫で、ゆっくりとそこに近付いていく。期待に膝を震わせた時だった。ローテーブルの上に置いていた携帯がブルブルと震える。ディスプレイに映った名前を見て私は慌てて立ち上がった。

「っ、もしもし!」
『おはよう、ヨリちゃん。今日仕事だよね?』
「は、はい!」
『悪いけど来る時に牛乳買ってきてくれない?』
「分かりました!」

 電話を切ると、また立花の手が伸びてくる。でもよく考えたらそんなことをしている暇はなくて、そんな理由で遅刻したと知られたら牧瀬が……想像しただけで怖くて私は立花の手を制した。

「ごめんもう仕事行かないと!」
「えっ」
「ほんとごめん!じゃあね!」

 立花の顔を見る余裕もないまま服を整える。そしてそのまま家を出た。
 今日も忙しくバタバタと働いたせいで充実感や達成感に満ち溢れ売り上げの計算をする。昼間のことなんて全く忘れ、和やかに牧瀬やバイトの子達と話していた。
 そんな時、ブルブルとポケットに入れていた携帯が震える。こんな夜中に電話を掛けてくるのは一人しかいないので何も考えずに電話に出た。

「もしもし」
『……ご機嫌だね』

 低い声に驚いて耳を離す。ディスプレイを確認してもやっぱり立花で、私は眉をひそめてどうしたの?と尋ねた。けれど立花は電話の向こうで大袈裟にため息を吐くだけで何も言わない。何なのよと心の中がもやっとして記憶を辿ってみる。そこでようやく原因に辿り着きはしたものの、みんなの前でそれを口に出す訳にはいかず慌てて咳払いで誤魔化した。もちろん牧瀬にはニコリと微笑まれて赤面した顔を逸らす羽目になったけれど。

「と、とりあえず家に帰ってから話そう」
『嫌だよ先に寝てるからね!』

 ぷんっと声に出して電話を切ってしまったのが三十路の男だとは到底信じられない。面倒なことになった……と深いため息を吐いた。
 牧瀬は友人として、恋愛や立花関連の相談相手としてとても頼りになるけれど何でもかんでも言うわけじゃない。家までの道を送ってくれると言う牧瀬の厚意に甘えて二人歩いていても、特に立花の話題が出ることはなかった。けれど立花のマンションの前で牧瀬と別れる時に、

「日向は結局ヨリちゃんに甘いからちゃんと話せばすぐに機嫌も直るよ」

 と微笑まれた。立花が拗ねていることをどうして知っているのか。やっぱり牧瀬は人間ではなく妖怪の類だと思う。
 エレベーターに乗り部屋に着くまでも何度もため息を吐いて、ガチャリと音を立てて玄関の鍵を開ける。恐る恐る中を覗けば、部屋の中は真っ暗だった。玄関はもちろん、廊下の向こうのリビングも。立花は言葉通り寝てしまったのだ。まぁ明日仕事だし仕方ないかとため息を吐いた瞬間、どこからか伸びてきた手が私の腕を掴んで引きずられた。きっと手の持ち主は立花なのだろうけれど、真っ暗な上無言だから恐怖が募る。パッと電気が点いた時、鏡越しにまっすぐに私を見つめる立花と目が合って安堵した。

「はぁ、びっくりしたじゃない」

 体の力を抜く私の服の中に手を入れ、立花は首筋に顔を埋める。汗もかいたし飲食店の匂いも気になる。立花に連れて来られたのはちょうど洗面所で、私は何も考えず立花の手を制した。

「ごめん、シャワー浴び、んっ」

 最後まで言うことが出来なかったのは、立花の手が口を覆ったから。がぶりと首筋に噛み付かれて立花の手の中で熱い息を吐いてしまう。スカートがふぁさりと床に落ちる音がした。途端に外気にさらされた脚がふるりと震えた。

「ヨリ、俺は怒ってます」
「んっ、待っ、」
「仕事だから仕方ない。うん、そうだね。でもヨリが行った後自分で自分を慰めたんだからね。ほんと虚しい」
「そんなこと言われても、」
「あーあ、本当はヨリの中で出したかったなー。ティッシュじゃなくてヨリの中でー」

 この男は腹が立つほどに器用で、それをこんな時にまで発揮する。口をペラペラと動かしながら左手は胸を、右手は下半身を撫で、私の体を簡単に火照らせていく。鏡の中の私はさっきまでと打って変わって真っ赤な顔でトロンとした目をしていて。でも今更取り繕うことなんて出来ずに洗面台にしがみついた。
 乳首を指で弾かれ敏感な突起を指が押す。甘い吐息が浴室に響いて耳触りだ。服を中途半端に乱されているのは全部脱がされるより何となく恥ずかしい。
 立花は自分の大きくなったそれを取り出しお尻に当てた。生々しい硬さと熱さ、震える感触に子宮が疼く。

「はぁ、ヨリの匂いと感触をオカズにしてイッちゃった昼間の俺、可哀想に」
「っ、この、変態!」
「あ、そんなこと言うなら挿れてあーげない」

 私の中心に擦り付けて、ぬるりとした液体を自身に塗り付けてお尻にまた当てる。無意識に震えたお尻を立花はするっと撫でて、私の耳元で囁いた。

「欲しいって言って?」
「っ、」
「言えないなら挿れてあげない」

 ここでいらないなんて言ったらきっと、ようやく直った立花の機嫌は急降下し3日後くらいまでイジイジいじけてしまうだろう。そんな風に立花のせいにしてしまうのも、結局は私が立花に甘えているからで。鏡の中の私は物欲しそうに立花を見つめているし、鏡越しでも体が火照っているのはよく分かる。

「っ、ほんと、変態なんだから……っ」
「ヨリもね」
「挿れ、て……?」
「……。ヨリはやっぱりズルい」

 立花はそれはそれは深いため息を吐いて私の背中を軽く押した。お尻を突き出す体勢になり、中心にそれが擦り付けられる。グッと肉を割って侵入してくる感触に、体がゾクゾクと震えた。

「んっ、ああっ」
「っ、はぁ、ヤバ、気持ちいい」

 立花は後ろから私の体を抱き締め、ズン、ズンと中の感触を確かめるようにゆっくり出し入れする。その度私の体は快感に震え、口から勝手に甘い声が洩れる。乱された服から溢れた胸がぷるんぷるんと震えて中途半端にずらされたブラが乳首を擦る。その度に中の立花をきゅうっと締め付けて立花も熱い息を吐いた。

「ヨリは乳首を擦られるのが好きなのかな?」

 洗面台に倒れ込んでいた体を起こされ、鏡の中の自分と目が合う。真っ赤な顔、蕩けた目、ハクハクと震える唇。見るのも恥ずかしい自分の横で、色気を纏った立花がまっすぐに私を見ていた。

「見てて?今から触るから」

 立花はあえてゆっくりと手を動かす。食い入るように鏡の中の指を見つめ、期待に体を震わせる。そして触れられた瞬間、電流が流れたみたいな快感が走った。

「っ、ううっ、ああん、」
「ふーん。ヨリは乳首が大好きなんだ。すごく締まるもんね」

 新しいおもちゃを見つけた子どもみたいに、キラキラと光る立花の目。私は肉食獣に目を付けられた草食動物みたいに体を震わせるしか出来なかった。いや、違う。体が震えていたのは確かな快感への期待。弱いところを的確に弄りながら腰を振る立花の手を握って、私は一度目の絶頂へと足を踏み入れたのだった。

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