異変

 クリスマスのデートは多分上手くいったと思う。寧々ちゃんたちの乱入はあったものの、立花と楽しい時間を過ごせた。最後までブツブツ言って不満そうではあったけれど、楽しそうに笑ってくれていたし。

「寧々ってさ、やっぱり吉岡くんとエッチしてるの?」
「ぶっ!!」

 放課後のファーストフード店でするにはあまりにあけすけな話題にジュースを噴き出した。ヨリ汚いとものすごく嫌そうな顔をする友人の中で、寧々ちゃんだけは大丈夫?とティッシュをくれた。困ったところもあるけれどとても優しい子だ。と、思う。

「ヨリは純情だねぇ。立花もヘタレそうだからあんたらはまだヤッてないでしょ」

 全て見透かしたような友人の言葉に何だか悲しくなってポテトを口いっぱいに頬張った。食い気に走るのが色気がないって言われる所以だろうか。

「ひょっ、ひょへひなほへわ」
「はいはい、何言ってんのかわかんないから。で、寧々はどうなの」
「んー、してるよー」

 普通に言った寧々ちゃんにビックリしてまたポテトを噴き出した。今度は思いっきり避けられて「掃除しろよ」と睨まれた。寧々ちゃんは笑っていた。

「だよねー。いいよなー、長く付き合って仲良しだし」
「ふふ、まぁね」

 そう言った寧々ちゃんは、幸せそうな笑顔のはずなのにどこか寂しそうで。何かあったのかなって心配になったけれど聞けなかった。聞ける雰囲気じゃなかったから。


「ふんふんふふん、ふふふんふふん」
「機嫌よさそうだね」
「まぁねー」

 お正月、立花と2人で初詣に行った。何だかとっても楽しそうだ。
 立花はどう思っているのだろう。私は正直そういうことに興味がないわけじゃないけど、一緒にいるだけで幸せだしなぁとも思う。はじめては痛いって聞くし、怖いとも思う。葛藤とか恐怖とか、そんなものも全部乗り越えるほど好きという気持ちが大きくなるんだろうか。……いや、多分そこまで深く考えないだろう、みんな。

「ヨリー、何ボーッとしてんのー?おっぱい揉んじゃうよー?」
「はっ?!ちょ、やめてよ!て、あれ?あれ寧々ちゃんと吉岡じゃない?」

 屋台のところに寧々ちゃんらしき人を見かけて立花の服を引っ張って言う。立花が何も答えないので見上げると、立花は何だか拗ねたようなそれでいて寂しそうな顔をしていた。その顔がこの前見た寧々ちゃんとかぶる。

「立花……?」
「行こう」

 あれ、声かけないのかな。不思議に思いながらも先に行ってしまった立花を追ったのだった。

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