「あ〜〜〜〜〜〜」
「赤井ぃぃ…ちと煩いぃぃ…」
「んんんんんん〜〜〜〜」
「…赤井黙って」
「ふぬぅぅぅぅぅぅ〜〜〜〜」
「煩い」
「だって暑い!!!!」
バシンッッと自身の足を叩き声を上げる。結構な力で叩いた為痛いようで地味に摩っている。
「暑いってだって今夏じゃんよ…」
「異常気象過ぎて俺には耐えられん」
「暑いって思うから暑いんだよ」
「じゃなんて思うんだよ」
「寒い」
「俺頭痛い子じゃんかっ!!」
烏間の言葉にそんなん無理だ!とその場に寝転ぶ。しかし照り付ける日に顔を歪めれば俯けになった。
「駄目だ、どの体勢も暑い…」
「烏間〜、柴崎〜、日陰行こ、日陰〜…」
「そりゃ行けるなら行きたいけどそもそも周りに影がない」
「その上、此処での待機命令が出てるからな…」
今は真夏の最中行われている訓練時。先程下降訓練を終えたとこであり、今はライフルの入った袋を肩に下げて狙撃訓練の待機中だ。勿論ほかの空挺団員も居て、皆暑そうだ。作業帽を被っているも、やはり日差しを全て遮ることは出来ない。
「マジ炎天下の中でする意味…。意味不過ぎて俺の頭はなんだ…?」
「沸いたんじゃない?言ってること可笑しいよ」
暑さのあまり言っていることが変である。思考回路がショート寸前だ。
「…柴崎」
「ん?」
「ここ、ここ」
「?」
花岡が自身の首筋を指して何かを伝えようとしてくる。
「タッチプリーズ」
「……あぁ。え、しないきゃいけない?」
「して。死ぬ。して欲しい。死にそう」
「……はいはい」
花岡に手を伸ばして手の甲をその首筋に当ててやる。
「〜〜っはぁぁぁ、冷たい〜〜…。正しく臨時冷えピタ…」
「これでも冬場苦労してるんだからな」
体質か遺伝か、元々体温が低めな柴崎。周りより夏場も少し体温は低いのだ。
「……もう温い」
「じゃあ終わり」
「まだ片手がある!」
「…なんで男が男の首に手を当てなきゃなんないんだか」
「冷たさを求める為に」
「お前がな」
俺は逆に熱貰ってるんだよ、と言いながらも仕方なくライフルを下げていた方の手を当てる。肩に下げたそれが落ちないようにもう片手で紐を捕らえておく。
「花岡ー…おま、ズリィぞ…俺にも冷たさ分けろ……」
「…ひぃ〜…、赤井は烏間から貰え〜…」
「……(チラ)」
「断る」
「言うと思いました想定内です」
「もういい?俺が暑い」
「あざーす…」
すっかり熱を頂き冷たさは何処へやら。ほんのり温くなった。
「夏も冷たいのか」
「冬よりマシだよ。冬はもっと冷たいから」
「悴んで大変だろ」
「まぁね。でももう慣れたかな…」
カイロは必需品だけど、と柴崎は笑う。あれがなければ正直死ぬ。手が。そんな話を前を向きながらしていたが、ん?と何かに気付き後ろを振り向きかける。が、伸びて来た手が自身の体を捕らえる方が少し早かった。
「っ!」
「んん?何々、柴崎は手冷えるんだ?」
「…冴島さん、急に出て来ないでください…」
「あれ、温いじゃん今」
体を離し、肩に手を回せば冴島は柴崎の手を取る。思ったより冷たくない事に首を傾げ、なんで?と聞く。
「花岡が暑い暑い言うもんだから冷やしてたんです」
「あー、冷えピタ的な?ひんやり芯まで冷やすみたいな?」
「……まぁ、えっと、はい」
芯まで冷やせないと思うがそこはもうツッコムのを止した。事実冷やしはしたんだから良いだろうと。
「……冴島さん、暑いです」
「俺もあっつい」
「なら離れて下さい」
「川島から逃げてきたんだよー匿ってくれい」
「んぇ?川島さんになんかしたんすか?」
赤井が上体を起こし聞けば、冴島は笑いながらもその理由を話す。
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