それから少しして、コートから出てきたなまえが二本の足で立ち上がった。 「すみません、社長。ちょっと湿っちゃったかもしれません」 「いいから乾くまで羽織ってろ。濡れた服なんざ着られるか」 コートを返そうとするも、うっとうしげにシッシと手を払われる。 「クソォ…あのワニ野郎…!」 「一粒で二度美味しいなまえちゃんに、あんなコトやこんなコトをヤリまくってやがったに違いないぜ…!」 「人魚プレイかよちくしょう!!!!」 追い払われた囚人達は直接面と向かって文句は言えないので、物陰に隠れながらクロコダイルに対する文句をぼやきあっていた。 「あァ?」 その当人にギロリと睨まれ、たちまち「ヒッ!」とすくみ上がる。 だが、クロコダイルは怒るどころかニヤリと不敵な笑みを浮かべた。 「当然、思いつく限りの事はヤリまくったに決まってんじゃねェか。羨ましいか、クハハハハ!!」 「ぐうぉぉおおー!やっぱりかーー!!」 「この外道めェ!!!」 「なんて羨ましい!!」 「なんだ、あいつら?」 ルフィはもんどりうって悔しがる囚人達に首を傾げつつ、クロコダイルの言葉に甘えてコートを肩に羽織ってくるまっているなまえに歩み寄った。 彼女とクロコダイルのやり取りを見ていたルフィは、単純にクロコダイルは湿ったままのコートを着たら濡れるから嫌がったのだと言葉通りに受け止めていた。 「あいつ砂人間だから濡れると固まるんだよな」 「うん、そうなの。凄く硬くなるんだよ」 「いや……ルフィ君が言っているのはそう意味の事じゃないと思うが……」 噛み合っているようで噛み合っていない会話に、ジンベエは突っ込まずにいられなかった。 |