3/3 


「うなされていますねぇ」

「うなされてるねぇ、思いっきり」

ポッドの中で目を閉じたまま、うんうん唸っている聖羅を、二人の人影が見守っていた。
片方はこのバーチャルシステムの創造主、もう片方は少年に呼び出されてやってきた運び屋だ。
切れ長の瞳を愛しげに細めて聖羅を見遣りながら、赤屍はクスリと笑う。

「MAKUBEX君も人が悪い。こんなゲームをやらせて、夜ごと悪夢を見るようになったらどうするのです?」

「そうかな。僕の造ったゲームなんて可愛いものだと思うけど。現実(リアル)のほうが余程タチが悪い悪夢みたいなものだからね。それに、もしかしたら、これで多少は耐性がつくかもしれないよ」

「誰に、と聞くのは野暮でしょうね。応援されているのか邪魔をされているのか微妙なところですが」

ポッドの中の聖羅の表情がいよいよ切羽詰まったものに変わった。
どうやらゲームも大詰めのようだ。

「勿論応援しているんだよ。聖羅は僕の大切な友人だからね。君くらい力のある騎士(ナイト)でなければ、安心して任せられないだろう?」

「騎士という柄ではありませんが…まあいいでしょう。感謝しますよ、MAKUBEX君」

くす、と笑みをこぼして、カバーの上を手袋に包まれた指がすっとなぞる。

早く戻ってきなさい
ゲームなどよりも
ずっと濃密な恐怖と快楽を与えてあげましょう
そして、この腕に捕まえて二度と離さない


目覚めた聖羅は果たして、安堵するのか、怯えるのか。
赤屍は早くその顔が見たいと思った。



 戻る  
3/3

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -