だけど、好きだよ。




※これはだけど、ごめんね。の続編です。
先にそちらを読むことをオススメします。





俺はさっきフラれた。
たぶんフラれるだろうなと思ってたけど、実際にフラれると案外きつい。




「…まあ、しょうがねえか」




そう無理矢理考えて納得しようとしたのに。




「っぅ、」
「!?」




なんで俺をフった名前があそこで泣いてんだよ。











「っ…はあ…」




もう充分泣いた。
教室には平気な顔で行かなきゃ。
元親に余計な心配させちゃう。

でも……




「うわあ…」




取り出した手鏡で自分の顔を見ると、見事に目が腫れていて、人に見せられるような顔じゃなかった。
こんな顔見せたら泣いてましたって言っているようなもんだ。




「どうしよう…」
「保健室行くか」
「!?」




突然の後ろからの聞き覚えのある声に驚いて振り向くと、
そこには少し気まずそうな顔をした元親がいて…




「な、んで…」
「その顔で教室には戻れねえだろ」
「っ…元親!」




元親はなにも聞こえていないように私の声を無視すると、
いきなり私の体をお姫様抱っこした。




「ちょっ…!?」
「暴れんなって」
「お、降ろして!」
「お前降ろしたら言うこと聞かねえだろ?」
「き、…かないけど…」
「なら担ぐしかねえじゃねえか」
「わかった、言うこと聞くから降ろして!重いでしょ!?」
「嫌だ」
「え…っちょ、」




元親はそのまま私を担いで、ものすごい速さで保健室まで走りだした。










「……」
「タオル、借りてきたから温かいのと冷たいの交互に当てとけ」
「…ありがと」
「…おう」




気まずい空気が流れる。
さっきまでパニックで忘れてたけど、私は元親をフったんだ。
なのに元親は…




「ねえ、元親」
「なんだ?」
「なんで、話しかけてきたの?さっき私…元親に最低なこと言ったのに」
「…じゃあ俺も一つ聞くが、
なんでさっき泣いてたんだ?」
「!」
「なんでフって泣いてんだよ。…泣きたいのはこっちだってのに」
「…ごめん」
「なあ、あんなん見たら俺諦められねえんだけど?」
「!それは、ダメ!」
「…なんでだよ?」




そう言う元親の顔は少しつらそうにゆがんだような気がした。
好きな人に好きでいることさえ拒否されたんだから、当たり前なのかもしれない。
…また、傷つけた。
もう、傷つけたくない。
元親のあんな顔見たくない。




「…私には、婚約者がいるの」
「!? 婚約者?」
「だから、私が元親の気持ちに答えられることはない。だから諦め…」
「名前はそいつが好きなのか?」
「…え?」
「その婚約者と、結婚したいか?」
「…そんなわけ、ない!だって私が好きなのは…っ」




そこまで言いかけてやめた。
それ以上は言ってはいけない。
元親を余計縛ってしまうことになる。




「…。そんな婚約なんて、知らねえよ」
「や、でも親が決めたことだから…」
「名前が望んでることじゃねえんだろ?だったらそんなの知らねえよ」




元親はそう断言すると、座ってる私の前にしゃがんだ。
目線が同じくらいになる。




「俺は名前が好きだ。お前が俺を好きじゃなくても、お前に婚約者がいても関係ねえ」
「なんで、そこまで…」
「さあな、好きになっちまったんだからしょうがねえだろ」




少し照れくさそうに頭をかきながら保健室を出ようとする元親に、なにか言わなきゃだと思った。
ここまで言われて無視はできない。
ここまで想われて、自分の気持ちを隠し通すなんてできるわけがない。




「…わ、私も!」
「あ?」
「私も、元親が好きだよ…」
「!?」
「でも!…今は付き合えない。ちゃんと、親と話すから。そしたら今度は私から元親に告白する。それまで元親が他の人を好きになっちゃうかもだけど、私の気持ちは絶対変わらないから。
だから…えと、」




私がそこまで言うと、元親は嬉しそうにいつもの元気な笑顔を取り戻して言った。




「おう!待ってるからな」




だけど、好きだよ。

(あなたのその真っ直ぐな想いに救われた気がした)



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はい、続編書きたいと言ってから何ヶ月か経ち、
いろいろ修正してたらまた書きたくなって衝動書きしました!
とりあえず、元親口調迷子(^p^)
ひたすらわからなかったです。
まあハッピーエンド?にできてよかった!\(^^)/


御拝読感謝!
20120813 どんぐり





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