「将太偉いね、ちゃんと謝れる。お前はいい子だ」
「…うん」
うん、じゃねーよ。
離れろよ。
と、苛立始める高校生。
「で、智希も」
「俺?」
「急に頭叩くのはよくない。さっき始めて会ったばっかなのに急に叩かれたら誰でもびっくりするだろ」
「あー」
じっと智希を見つめる将太。
その隣で、少し不機嫌な顔をしている有志。
喧嘩両成敗か。
「ごめん。もうしない」
「うん」
将太は小さく頷くと、鼻をすすり少し濡れた服の袖で再び涙を拭きとった。
大きく上を向いて首が痛そうだ。
そんな光景を、有志はちょっとイイな、と思ってしまった。
ゴホン、と咳払いをして立ち上がる。
「よし、じゃあご飯食べようか」
「うん!」
「じゃあ、智希お兄ちゃんにご飯お願いしますって言おう」
「え」
半ば強引に有志はズンっと智希の目の前に将太を突き出した。
目の前、と言っても智希からしたらだいぶ下だが。
「ご飯、食べたいです」
「お、おぅ」
潤んだ瞳で見上げられ、急にしおらしくなったその表情に思わずキュンとしてしまった。
それから家族3人?で、夕食をすませ、とりあえず風呂に入ろうということになった。
「え、一緒に?」
「うん!パパと入りたい!」
「ダメだ!!」
「なんで智希がダメって言うんだよ」
「お前!呼び捨てにすんな!」
「お前って言うな!」
「あーはいはい喧嘩しない」
リビングで口論し始める高校生と小学生を端っこで見ながら小さくため息をついた。