「はぁー食べた食べたー」
「おいしかったな」
「ん」
ホテルから徒歩10分ほどの所にあるスープカレー屋に行き、満腹になるまでその味を堪能した。
帰りの道をゆっくり歩きながら空を見上げる。
「なんか曇ってない?」
「明日晴れるかな」
「俺晴れ男だから大丈夫」
「そういえば智希はいつも遠足や試合の日は晴れてたな」
ふと、思い出す。
「小さい智可愛かったなー」
「可愛いなんて嬉しくない」
「そ?みんなに自慢したかった。今じゃこんな大きくなって…」
「まだ伸びるよ」
「伸びなくていいよ」
クスっと苦笑いして、繋がれた手を見つめ頬に持っていく。
智希の手の甲を自分の頬に押しつけながら、スリスリと甘えるように何度も温もりを確かめた。
「これ以上大きくならないくていいよ。これ以上目立たなくていい」
「自慢しなくていいの?」
「自慢はしたいけど……。智のかっこよさと可愛さは俺だけが知ってたい」
「だーかーら、可愛くないって!ってか可愛いって言うな!」
「智は十分可愛い」
照れる智希。
それを見て満足そうに微笑む有志。
一生懸命背伸びして、大人になろうとしてる所とかね。
「露天風呂の貸し切り、予約取れたよ」
「………」
「なんで睨むんだよ。入ってもいいって言ったじゃん」
「なんもしなかったらね」
「なんもってなに」
こんなやり取りをもう1時間はしている。
部屋に戻ると明日明後日の予定を確認し、浴衣に着替え有志はベッドの上をゴロゴロ、智希は椅子に座りフロントに電話をかけていた。