>>アニマルタイプ:ナマケモノ
嬉しそうな顔をしてると言われて、神田くんと演劇を見に行くのだとミランダ先生に伝えた。

「あら、デート?」

「違いますよ。」

ミランダ先生が誤解するのも無理はない、と苦笑して私はそれを否定した。
昼休みの図書室での活動が落ち着きだして、リナリーちゃんたちの手助けも必要ではなくなってきたので、私とミランダ先生だけ今は昼休みに活動している。たまに本を借りに来るラビくんとは図書室であったりはするが、リナリーちゃんたちとは図書室で会うことはなくなった。

「さっきラビくんやリナリーちゃんも行くって言ってましたし。」

今日はラビくんが本の返却に来てくれて少し話した。その時にラビくんやリナリーちゃんも見に行くということが判明したのである。

「あら。」

「ラビくんはおじいさんと、リナリーちゃんはお兄さんと行くみたいで、行動をともにするわけではないですけど。」

「じゃあ神田くんと二人きりってことね!やっぱりデートよ。」

「それでもやっぱり違いますよ。」

最近自分の恋愛がうまくいっていて調子のいいミランダ先生は、周囲のことも恋愛に結びつけたがる。この学校に来た当初、彼女の負のオーラに付随するように次々と彼女の周りに起こっていた数々の失敗を思えば今の方がいいのだけど。彼女は恋愛がうまくいくと仕事もうまくいくタイプの人のようだ。未だに本の返し場所を間違えるのは、おそらく彼女のポテンシャルの問題だ。

「神田君は演劇に情熱を注いでるって感じの人で、たぶん私にも演劇を好きになってほしいんだと思います。」

「そうかしら・・・」

「そうですよ。」

未だ納得いかない様子のミランダ先生。きっとマリ先生と結婚に至るまで恋愛脳な彼女にどれだけ言っても無駄だし、ミランダ先生の考えを完璧にどうこうしたいわけではないので私は放っておくことにした。

「さ、少し作業が止まっちゃいましたね。続けましょう。」

「ええ。」

ガールズトークはお開きにして、私たちは黙々と作業を再開させた。演劇部にも参加したい。でもミランダ先生のお手伝いもしたい。そのための昼休みの作業が終わらなければ意味がないのだし。

今では演劇は私の中では大きな部分を占めていて、とても大切なものになっている。私が書いた物語が脚本になって、演じられて、二次元が三次元へと形を変えて、私がどれほどわくわくしたか。それはきっと神田君も同じなのだと思う。私の小説を読んで、演劇へとするために動いてくれて、そして役者として演劇を形作っている彼はきっと私と同じように楽しんでいる。今は恋愛より演劇が楽しいのだ。

「(ああ、はやく放課後にならないかな)。」

気づいたら私は、毎日放課後を待ち遠しく思っている。

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