ぜったいいえない。
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ビーストスピリットは制御不能!? ガルムモン進化!
 目が覚めたら、輝二さんとボコモン、ネーモンがいなくなっていた。先に行く、というメモだけを残して。
 昨日は、わたしなんかの為に優しくしてくれて、すっごく嬉しかったのに。昨日の蒼い月に照らされた、輝二さんの姿がよみがえった。

「一人が好きなのね、気持ちは分からないでもないけど」

 泉ちゃんが呟いた。こんなに明るくて友達も多そうな泉ちゃんも、一人が好きなの?
 輝二さんは今までずっとひとりで旅をしていたから、一人のほうが断然気楽なんだろう。大体、輝二さんは強いし――、それでも、ものすごいわたしの勝手だけれども、寂しいな、なんて思ってしまった。

「ったく、あいつには協調性がないんだ!」

 純平さんはそう言いながらメモを破り捨てる。わたしは、それを見て資源がもったいないなあと思った。
 すると、拓也君は「それを言われるとオレも弱いかも……」と声を漏らした。え、そんなばかな。

「オレもコーチによく言われたんだ、サッカーするたびに、協調性がないってさ、」
「そうだったんだ……」

 拓也君なんて、友樹君に対してもお兄ちゃんみたいに接してたし、今も皆を引っ張ってくれてるし、戦えない身のわたしですら仲間扱いしてくれている。――それに比べたら、わたしって一体なんなの。



「輝二のヤツ、一体どこに行ったんだ?」

 背の高い草をかき分けながら進んでいく。ううっ虫刺されとかになりそうでイヤだ。
 わたしがそう考えていると、いきなりギガスモンが飛んできて、地面をぶっ叩いた。

「アースクエイク!」
「ギガスモン!!」

 辺りに土埃が舞い上がり、大地が揺れる。わたしは固く眼をつぶって、咳き込んだ。

「フンッ。今のはほんのご挨拶だぜ!」

 困惑するわたしたちの前で、ギガスモンはにやりと笑った。
 拓也君が、「想は離れてろ」と言った。それがなんなのか理解すると同時に、皆はデジヴァイスを手にした。

「スピリット・エボリューション!」

 アグニモンもフェアリモンもブリッツモンもチャックモンも、ギガスモンに立ち向かっていって、わたしは邪魔にならないように――と走りだした。
 皆の攻撃は全てヒットしない。ギガスモンは得意げに笑い、――そして何故かわたしを見た。

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