ぜったいいえない。
「な、なに!」[2/3] 「そーいえば、お前はスピリットは持っていないンだよな」 「想に手を出すな!!」 ギガスモンはわたしに近づきはじめて、わたしは涙目になった。皆はギガスモンを止めるためにヤツに駆け寄る。するとギガスモンはまるでそれを待っていたかのようにして、 「ハリケーンボンバー!!」 「うわあああっ」 自身がコマのように回転して土竜巻を発生させて皆を吹き飛ばした。 「みんな……チャックモン!」 チャックモンにデジコードが浮かび上がっている! だめだ、スキャンされちゃう……! ギガスモンはとどめだ! と言い、チャックモンにパンチを喰らわそうとした。そ、そんな……あっ。 「フェアリモン!」 フェアリモンが、チャックモンを突き飛ばし、自分が代わりにギガスモンの攻撃を受けた。 ビーストの技をもろにくらったフェアリモンに、デジコードが現れる。――そしてそのままスキャンされてしまい、フェアリモンは泉ちゃんに戻る。 「風のスピリット、いただいた!」 わたしは走って、落ちていく泉ちゃんを受け止めた。 ギガスモンはグロットモンになる。アグニモンとブリッツモンは攻撃しようとしたけど、グロットモンはハンマーで二人を打った。 「デジコードが……!」 アグニモンにもブリッツモンもやられて、拓也君、純平さんに戻る。みんな、ボロボロだ――。どうしよう、もう、ダメなの? 「へっ。残ったのはお前だけか」 グロットモンが振り返って、わたしを睨みながら言った。 「も、もうやめてよ!」 でも、わたしがそんなことを言っても意味はなかった。グロットモンは、また攻撃をしようとしだす。そんな、どうしよう、誰か、誰か助けて――輝二、さん!! もうダメだと思った。わたしは祈るしかできなくて、固く眼をつぶっていた。そんなとき、まぶたの裏に光が映りこんで――そして、ヴォルフモンの声が聞こえた。 「リヒト・クーゲル!」 「輝二く――ヴォルフモン!!」 なんていいタイミングで登場するんだ、この人は。ああでも、すっごく安心した。 ヴォルフモンは、グロットモンの胸ぐらを掴む。だけども、グロットモンは涼しい顔をしていた。 「まーたお前か」 「俺のスピリットが欲しかったんじゃないのか?」 「フンッ。スネークアイブレイク!」 グロットモンはあの二つのハンマーを出し、ヴォルフモンの顔を打とうとした。ヴォルフモンはそれを避けて、グロットモンにキックを喰らわした。 「決着をつけようぜ!!」 そして、そう言って走り去っていく。グロットモンはギガスモンになってから、ヴォルフモンを追う。あ、でもビーストよりも人型のほうがスピードとかありそうだと思うんだけども。 ――ああ、ヴォルフモンは被害が拡大しないように、向こうに行ってくれたんだ。きっと。 「……想、ありがとう」 横たわる泉ちゃんが、呟く。わたしはこの子を受け止めてから、ずっと泉ちゃんの手をつないだままだったのだ。 「ううん、それよりも泉ちゃんが……!」 「そうだよ! 泉ちゃん、大丈夫!?」 「想、純平、ありがとう。でも――」 泉ちゃんはデジヴァイス見つめた。スピリットが、奪われてしまった。モニタに映っているのは、砂嵐だけだった。 そもそも、わたしがちゃんとスピリットを持っていたら。ちゃんと戦えていたら、こんなことにはなっていなかったかもしれない。泉ちゃんを守れていたかもしれないのに。 NOVEL TOP |