ノイズに変わって奪われる
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ロイヤルナイツ散る そして…!!
 わたしたちは月にいた。第三の月。黄金色に輝く、月。
 世界が消滅しているということでなければ、ため息が出そうなくらい美しい景色だった。
 ーー最後の地で、待っている。デュークモンさんの言葉を思い出す。
 もうデジタルワールドは消滅してしまった。それなのに、最後の地って、一体なんだったのだろう。デジタルワールドが消えた今、デュークモンさんを思い出すのはとてもつらかった。


「綺麗な景色よね」
「ああ、天国みたいだ!」
「……よしてくれ! 俺たち、死んだみたいじゃないか」
「……ご、ごめん」

 素直な感想を漏らした純平さんに、輝二くんが言った。死んだ、そんな言葉にわたしはどうしても過剰に反応してしまう。
 輝一くんの表情が、僅かに歪む。いちばん苦しいのは輝一くんだけれど、わたしも胸が締め付けられた気持ちになった。


「デジタルワールド……消えちゃったね」
「ああ、もう終わりか」
「……まだまだ! まだ、オレたちはこうして生きていて、戦える力もある!!」

 拓也くんは拳を握りしめた。

「なんとかするさ、その、なんとか、はこれから考えるけど……」
「なんとかしようにもデジタルワールドはもうないんだぜ!」
「護るべきものがなくなった今、あたしたちどうすればいいのか……!」
「まだ、デジモンたちがいるじゃないか!!」

 輝二くんはそう言ってデジヴァイスを掲げた。
 その言葉に、皆は顔を上げた。でも、不安げだった。
 わたしは、何も言えなかった。この世界が終わりだと言いたくもない。けれど、確実にこの世界が救われる、なんて言える自信もない。
 拓也くんは、自分のデジヴァイスのアグニモンに語りかける。ーーオレ、間違っているか?
 間違っていない。拓也くんは、正しい。間違っているのは、ルーチェモンだ。


*

「……あれ、何かしら」


 泉ちゃんの指差すほうから、シャボン玉が舞っている。わたしたちは、そこに向かって、真っ直ぐすすんでいく。
 そこには、たくさんのデジタマと赤ちゃんデジモンがいた。

「たまごが孵ってる!」
「きっと、あの時のデジタマだよ!」

 産まれたばかりのデジモンたちを、抱える。
 この子たちは、今デジタルワールドに於かれた状況を理解していない。ただ、純真に笑っていた。その笑顔が眩しくて、痛くて、わたしの心はちくちくとした。

「たかい、たかーい!」
「うわ、泣くなよ……!」
「ふふ、可愛い……」

 皆、それぞれデジモンたちを愛おしんでいた。
 生命を愛おしんで腕の中のピョコモンを見つめていると、ピョコモンはにっこり笑い返してくれた。

「ああ……! 生まれるです!」

 パタモンの見つめる先には、デジタマがふたつあった。
 そして、たまごが光ってデジモンが現れた。

「おれ、ロップモン。よろしくな」
「あたしプロットモン。あなたは、だあれ?」
「ボク、パタモンですう」

 ーー赤ちゃんデジモンよりも少し大きなサイズで生まれた彼らは、きっとパタモンと同じ。
 パタモンがセラフィモンの生まれ変わりと同じなように、プロットモンはオファニモン、ロップモンはケルビモンの生まれ変わりなのだとボコモンは語る。
 かつての三大天使は、過去の垣根などなかったかのように話をして、あっという間に打ち解けた。
 三体は昔からの大親友みたいにして、一緒に遊んでいる。


「生まれ変わったと同時に、浄化されたのね」
「逆だよ。浄化されたから、生まれ変わったんだ」
「どっちだっていいじゃないか。このまま、真っ直ぐに育ってくれれば――」
「ああ、その日が来るためにも……」


 わたしたちは、壊れてしまったデジタルワールドを見上げる。
 再び、平和な世界が訪れるようーーわたしたちは、立ち止まるわけにはいかない。
 そう、意志を強く固めたときだった。
 背後から、かつかつと何者かが歩いてくる音が聞こえた。赤ちゃんのデジモンたちは、一頭身で足もまだない子が多い。それなのに、この足音が聴こえてくるなんておかしい、としか言えなくてーー、
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