にげちゃだめだ
[3/4] 「じゃ、わたしはこれを、うわぁっ!?」 選んだ木の根はやたらつるつるしてて、あっという間にわたしはバツ印のもとまで落下してしまった。そしたら、何でかわかんないけど、バツ印のところは土がいっぱいになって、みんな呑まれていきそうになる。 当たりなのは拓也君、友樹君のみで、あとのわたしたち全員は完全に土に埋もれてしまった。 「何これー!!」 「内臓圧迫されて死にそう……」 「生々しいこというな! これに掴まれ!」 拓也君はそう言って木の根を土に埋もれたわたしたちによこした。 わたしたちはそれに掴まり土から出ようとするけど、土の中だから身動きとりずらいし拓也君も友樹君も引っ張るのが苦しそうだ。 そんな最中、土煙とともにグロットモンの笑い声が聞こえた。 「グハハハ! 捕まえたぜ。まずアタリはそこの二人!! あとは全部ハズレってワケだ」 わたしは、グロットモンって汚い笑い方するなあ、って思った。全然関係ないけどね。 「で、ハズレはこのあとどーなんの」 「あとでゆっくり料理してや 「わたし貧相だから食べてもおいしくないよ!」 「そうよ、あたしも細くて綺麗だし……食べるなら純平からにして」 「オレ玉子焼き食べたいな〜」 「バカモーン! そんなこと言ってる場合じゃないはら!!」 「泉ちゃん……オレ……」 「純平泣いてるぞ」 「ちったぁ黙りやがれ!! てか意味ちげえよ! まずはお前たちから料理だ!」 グロットモンは拓也君と友樹君を指した。あ、グロットモンって、意外とツッコむ人なんだなー。 拓也君たちはアタリがハズレだ! と抗議する。 「うるさーぁい! 今まで散々オレ様をコケにしやがって!!」 「やっぱりさっき台詞最後まで言えなかったから怒ってんのかな……」 「分からないわ……でも別にそこまでコケにしてはいないわよね?」 「土のグロットモンはああいう性格じゃまき」 「え〜」 「泉ちゃん……オレ痩せたほうがいいのかな……」 「多分お前たちがそんなこと言ってる時点でもうダメなんじゃないか?」 「全部聞こえてるぞガキ共!」 聞こえてましたか。 「ふんっ。とにかく、もーこっちはヴリトラモンのスピリット、手に入れてんだよ!」 「何!? 制御できたのか!?」 それを言われて、拓也君は言葉に詰まる。さっきは友樹君のお陰でなんとかなった。でも、今やったら、どうなんだろう――。 グロットモンは馬鹿でかいハンマーを手にして、それを拓也君たちに振りかざす。 「逃げろ、友樹!!」 グロットモンは、文句を言いながらギガスモンにスライド進化した。 拓也君は友樹君を木の上に登らせて逃し、続いて自分がアグニモンに進化する。 「バーニング……」 「やめてくれ、また火事になる!」 そうだ。さっきみたいに黒焦げになっちゃうよ。 でも、技が使えないとなると、アグニモンはギガスモンに押されてしまう一方だった。人型と獣型じゃ、力の差がありすぎるんだ! 「アグニモ……うわあ!!」 友樹君はギガスモンに掴まれる。ギガスモンは友樹君を人質に、木の上に駆け上っていった。 で、残されたわたしたちは、ひたすら奮闘する。 「ぬ〜け〜な〜い〜」 「バカモーン! 余計動いたらハマるっちゅわれたじゃろ!」 「なんかこれさらし首みたい……」 「ヘンなたとえすんな!!」 でも、さあ。これひどいよ。服も汚れちゃうし、ミミズとかいたらやだし。お風呂入りたい……。 NOVEL TOP |