ほむらのけもの
「シャーマモンよ! 行くべきか、行かざるべきか占ってくれまき」[3/4] シャーマモンさんはゆっくりと振り返った。 ……ん? このデジモンさんどっかで見たことあるような――って、あああッ。工場で働いてた、ゴブリモン!? 「ゴブリモンじゃねーか!」 「あー違う、ちがう。 彼はシャーマモン。別のデジモンじゃい!」 「ベツモンかあ……」 「想、それじゃあまたちがうデジモンになっちゃうよ〜」 えっ、そうなんだ。ベツモン、ってデジモンも実在してるのか。紛らわしいな。 「ちなみにベツモン、ってこんなの」 「え!? うそお」 ネーモンに写真を見せてもらった……けど、えっ、衝撃的すぎる! あ、シャーマモンは踊りながら「これから沢山の災いがあるだろう!」と占ってた。拓也君と友樹君が、対処を誤ると死に至るとかひどいことも言われてた。…… 「それから、スピリットを持たぬ娘よ!」 シャーマモンは、棍棒で、わたしを差した。な、なに! 「お前は善にも悪にでもなれる力を持つ可能性を秘めている――だが今のままではダメじゃ」 え、意味わからない。そんなこと言われたって――! あっ! 「ま、ま、まさか開運の壺を買わされるとか!?」 「想さんさすがにそれはないでしょ……。どうすればいいの?」 「それに対処、っつっても――」 拓也君が言いかけたときだった。ぐらぐらっ、と突然に地響きが起こる。地震!? それとも、まさかグロットモン? 「じし――わっ」 バランスを崩して転びかけた。すると、輝二さんが支えてくれる。わたしはそのまま輝二さんに腕を掴まれながら、わたしたち全員は神殿から脱出した。 なんだか、いっつも助けてもらってる気がするよう……。 「見つけたぞお、ガキども!!」 外にいたのは、グロットモンだった。――やだな。 グロットモンは、ゴーレモンとかいう、土人形みたいなでっかいのの上に立っていた。 「しつこいヤツだ!」 「さっきの占い当たってたかもね……!」 ゴーレモンは容赦なくおそいかかってくる。 拓也君、純平さん、友樹君は進化した。輝二さんもそれに続いて「スピリット……!」と唱えた。 けれど、すかさずグロットモンは、輝二さんに向かって何かピンク色の粉を振りまいた。すると、魔方陣が現れ、輝二さんは身動きがとれない状態になってしまった。 「動けなければ進化もできまい!」 「クソッ!」 そんな――。 チャックモン、ブリッツモンはゴーレモンに必殺技を喰らわせようとしたけど、全く歯が立たなくて、遠くのほうへ吹き飛ばされてしまった。 「バーニング・サラマンダー!」 アグニモンが挑んでも、同じように飛ばされてしまう。 「くそっ、このまま見ているしかできないのか……!」 それはわたしも同じ思いだった。――多分、泉ちゃんも。 皆は一生懸命戦っているのに、いっつも、わたしだけ何もできない。歯がゆいかんじがする……。それでも、小さいときからわたしは逃げてばっかり、だった。 「スノーボンバー!」 「ライトニングボンバー!」 「サラマンダーブレイク!」 三人は負けじと必殺技を繰り広げまくる。すると、ゴーレモンはやられた――よかった、なんとか勝てた! グロットモンは顔を歪める。そして今度はギガスモンになり、ギガスモン自ら攻撃をしようとし始める。 「さぁ、狩りをはじめるぞ!」 「かっこつけすぎだよ!」 チャックモンはそう言ってバズーカから雪玉を打った。――でも、ギガスモンはハリケーンボンバーでチャックモンに体当たりをしようとして――。 「う、うわあっ!」 「チャックモン!」 アグニモンはチャックモンを助けようとして竜巻に向かったけど、跳ね返される。チャックモンのスピリットはギガスモンに奪われてしまい、チャックモンは友樹君に戻ってしまった。 NOVEL TOP |