夕陽の約束
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 それからすぐに、スカルサタモンが不気味に笑いながらやってくる声が聞こえた。
 片目のエレキモンさん以外のデジモンたちは、皆怯えて隠れてしまう。エレキモンさんは、やって来るスカルサタモンを静かに睨んでいる。


「相手は、スカルサタモン二体。ここはオレたちに任せて!」

「ハイパースピリット・エボリューション!」


 そうして、二人はカイゼルグレイモンとマグナガルルモンに進化した。
 やって来たスカルサタモン二体と対峙する。

「あいつら、新しい進化を……!?」
「うん、皆のスピリットの力が合わさったんだよ」

 驚いているエレキモンさんにも、教えてあげた。
 スカルサタモンは次々と炎のターミナルの建造物を破壊していく。デジモンたち皆は、怯えて更に逃げていってしまう。

「そうか、お前たちが、ロードナイトモン様が言っていた腰抜け野郎だな!」
「へ、ビビッて何も言えねえのか!?」
「お前たちにとってそれが今だ。だが、嘆くことはない。ルーチェモン様が復活すれば、お前たちも新たなデジモンとして生まれ変わる」


 それからもスカルサタモンはルーチェモンをたたえる言葉を述べていく。洗脳されているみたいで不気味だった。マグナガルルモンと、カイゼルグレイモンは無反応だった。


「おい、何か言ったらどうだ!?」
「何が楽しい。誰も、ルーチェモンの都合の良いデジモンになんかなりたくない」
「ただひたすら、上の者の言いなりになる。お前たちは哀れだな」
「っ、黙れ!」


 激昂したスカルサタモンが、二人に襲いかかる。けれど、今までずっと戦ってきた彼らにとってスカルサタモンなんて敵じゃない。
 カイゼルグレイモンはスカルサタモンに立ち去るように説得していたけれど、言う事を聞こうとしなかった。カイゼルグレイモンは、剣を手にする。

「炎龍撃!」
「マシンガー・デストロイ!」
「ウワアアアア!」


 炎と弾丸が放たれる。
 スカルサタモンは、二体の攻撃にやられて倒れたかのように見えた。マグナガルルモンたちはわざと急所を外して攻撃したみたいだった。


「……もう一度だけ心を改める機会をやる。立ち去れ!」
「っ、これじゃあ手間を喰うばかりだぜ! ……出てこい、兄弟!」

 倒れたスカルサタモンが、杖を手にかざした。何かと思っていると、杖のてっぺんの玉からまた新たなスカルサタモンが現れた。三体、いたんだ。

「オレたちスカルサタモン三兄弟! オレたちに敵うものはいない!」
「ぁぁ……っ」


 今度は、三体目のスカルサタモンが現れた。
 三体揃って、一体は辺りを攻撃し始める。炎が燃え上がった。
 先ほどマグナガルルモンたちが攻撃した二体も、カイゼルグレイモンの腕を抱えて空に飛んで、マグナガルルモンとぶつからせるように仕向けていた。
 スカルサタモンは建物をどんどん破壊していき、ピヨモンの一匹を捕まえた。

「地獄に堕ちたくなかったら、炎のターミナルのデータの在り処を言え!」
「ウワアアアアッ!」
「言うちゃ駄目ぞい!」
「皆、ピヨモンさん……っ、ど、どうしよう」
「畜生……ッ!」

 わたしの隣にいたエレキモンさんも、悔しそうに唸っている。
 ピヨモンさんは震えて、そしてとっさにデータのある場所だという建物を指してしまった。


「この中です!」
「嘘を付いたら許さんぞ? ほら、褒美だ!」
「ひどい……!」

 ピヨモンさんは建物の壁に投げつけられた。ばたり、とそのまま落ちる。
 どうして、あの人達はこんなにひどいことを出来るんだろうか。自分が何も出来ないのも悔しいし、こわい。また、足が震える。


「おい、想、お前ら。怯えていてはダメだッ! たとえ小さな力でも、皆の力を合わせれば故郷を救える。そう言われただろ! これ以上、俺の村のような場所を増やすわけにはいかねえんだ!」
「え、エレキモン、さん……!」
「っ! そうだよ! みんなで、とめるんだ!」


 エレキモンさんたちや、ピヨモンさん、パグモン、ポヨモンがスカルサタモンに飛び出していった。
 カイゼルグレイモンとマグナガルルモンは、なんとかスカルサタモンの二体が手出しできないようにした。そして、カイゼルグレイモンはデータを奪おうとしているスカルサタモンに向かっていった。


「スキャン、させるか!」
「炎の街のターミナルのデータ、もらうぞ!」
「だめー!」

 その時、エレキモンさんたち皆が大きな声で叫んだ。

「何!?」
「スパークリングサンダー!」
「マジカルファイヤー!」

 そして、ポヨモンとパグモンは泡をスカルサタモンに吐いていく。
 
「チビどもが! お前たちから先にスキャンしてやる……!」
「やめろ! マシンガン・デストロイ!」

 と、マグナガルルモンが飛び出したとき、スカルサタモン三兄弟が襲いかかった。
 
「ぐっ……!」
「輝二くん!」


 ――だけれど、間一髪でカイゼルグレイモンが立ちふさがる。わたしは、安心した。
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