やがて世界が変わっても
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スピリットを一つに! 拓也と輝二の究極進化
 ついに、ケルビモンが現れた。ケルビモンは叫んだかと思うと、ゴートモンさんを掴んだ。何をするんだ、と言っても、ケルビモンはゴートモンさんを生け贄として殺してしまった。わたしたちを連れてきてくれたのに――。わたし、というかシキモンは泣きそうになっていた。


「そんな……!」
「所詮奴は、スピリットを手に入れるための駒に過ぎん。……勿論オファニモンとて同じこと」
「……俺もその駒だったのか」


 レーベモンが言うと、ケルビモンは「当然だ」と返した。
 輝一くんやゴートモンさんだけじゃない。他にも、ケルビモンの為に犠牲になったデジモンが多くいる。それは、牢獄の間にあったデジコードの啼き声が証明している。ケルビモンの話ではあのデータはすべて、闇のスピリットを適合させようとしてああなったらしい。
 レーベモンはケルビモンに攻撃を放った、けれどそれが効くことはなかった。


「攻撃が……通用しない!?」
「闇がないからじゃ、この部屋には光に満ちておる。影が、闇が生まれないんじゃ!」
「……まずは、お前のスピリットからだ」

 そして、ケルビモンはレーベモンを捕まえた。

「そうはさせない!」

 輝二くんと拓也くんはダブルスピリット進化して、レーベモンを取り戻そうとした。
 まずはじめに、アルダモンが攻撃して、レーベモンを解放した。けれどその代わりにアルダモンはケルビモンに捕まってしまう。


「ッ、レーベ!!」


 解放して、そのままケルビモンの手から落ちていったレーベモンを、シキモンが受け止める。
 二体は攻撃していたけれど、ケルビモンには なかなか技が通用しない。――パタモンいわく、ここは光に満ちているから技が効かないのだそうだ。オファニモン様も「あなたたちの技はこの場所では通用しません」と言った。それ、もっと早く言ってほしかったよ。


「ケルビモンは我々が! その間に、皆はオファニモンを光の檻から――!」
「分かった!」

 ベオルフモンとアルダモンは、ケルビモンに体当たりをしてケルビモンごと外に向かっていった。――お願い、どうか二人とも無事に戦って。
 そして残されたわたしたちも、光の檻をどうにかしなければいけない。


「どうすればいいの!」
「あの光の鎖の向きを変えればいいはず!」
「それなら……ツララララー!」
「チャックモン!」
「皆がんばってるんだ。ボクだってがんばらないと……っ!」

 チャックモンが氷柱になって、光の鎖に当たった。氷が解けかかって苦しそうだったけれど、チャックモンは頑張っている。勿論、外にいるベオルフモンとアルダモンも。

「苦無乱舞!」

 だから、わたしもクナイを放つ。クナイが光の鎖に突き刺さっていき、鎖がずれる。けれどずれただけで完全に光の檻からオファニモン様を解放することはできない。
 チャックモンも、ついに氷柱に限界が来てしまった。苛立って、ブリッツモンは光の壁を叩いたけれど――そこで、あることに気付いたようだった。


「光の反射している部分を壊していけば、光の量が減り、檻が消えるはず……!」
「なるほど。しかしどこを叩けば……」
「わしらが指示する!」


 そうして、ボコモンとネーモン、パタモンの指示に従いシキモンたちは光の壁・床を破壊していった。そのお陰で、一本いっぽん光の鎖が解き放たれていった。そうしていくうちに、ついに光に満ちていたこの部屋に影が生まれた。


「ここは、私とレーベに任せてほしいのでござる。色即――ッ!?」


 色即是空で灰色のもやを発生させて部屋の影を強くしてから、レーベモンが闇の技を放てばいいと思っていた。けれど、いざシキモンが必殺技を繰りだそうとしたとき――再び、この空間にケルビモンが現れた。

「シキモン、危ない!」

 ブリッツモンが、シキモンを突き飛ばした。ケルビモンが、いきなりシキモンに向かった攻撃を仕掛けてきたからだ。
 おかげでシキモンは無事で済んだけれど、ブリッツモンは進化が解けて、そしてデジヴァイスがケルビモンに奪われてしまった。


「純平ッ!! 私の為におぬしのデジヴァイスが……!」
「純平、逃げて!」
「お、おれはいいから早くオファニモンを!」
「早くしろ、ケルビモンは俺が引き止める」
「ボクもっ!」


 レーベモンとチャックモンはスライド進化した。二体が戦ってくれているあいだに、シキモンとシューツモンはオファニモンを光の檻から解放しようとした。 でもそれも永くは持たず、二体ともケルビモンの攻撃にやられ、純平さんと同じように進化が解かれデジヴァイスを奪われてしまった。
 ケルビモンは当たり前だけど、今まで遭ったどのデジモンよりも強敵だった。


「ケルビは……輝二や拓也のデジヴァイスも、持っているのかッ!!」
「ああそうだ。所詮ダブルスピリット進化したところで、俺様には敵わないのだ。……さあ、次はお前たちだ!」
「させないわっ!!」


 ケルビモンはそう言って、シキモンとシューツモンを睨む。
 輝二くんたちも、ケルビモンにデジヴァイスを奪われてしまったことがショックだった。でも、今シキモンたちがここでやられてしまったら、すべてのスピリットがケルビモンの掌中にいってしまう――!!
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