やがて世界が変わっても
わたしは――、シキモンは真っ直ぐにケルビモンを見据えて、必殺技を放つ。[2/2] 「……可視光拳ッ!」 「ギルガメッシュスライサー!」 「ふっ、効かんな! ライトニングスピアー!」 背後では「私のことはいいから逃げて!!」と叫ぶオファニモン様の声が聞こえた。――それでも、皆がやられているのに、わたしたちがここで倒れるわけにはいかない! 禍々しい色の槍が、シキモンたち目掛けて飛んでくる。その時、だった。オファニモン様が自ら光の檻から現れて、ケルビモンの槍からシキモンたちをかばってくれた。シキモンたちは地面に叩きつけられ、そして進化が解けた。 「ケルビモン、あなたの思い通りにはさせません!」 「オファニモン! 何故だ、お前といいセラフィモンといい、自分の身を犠牲にしてまで……!」 「今のあなたには分からないようですね。デジモンたちの命を、駒としか思っていないあなたには!」 「天の高みから見れば、そう見るのも道理ではないか!!」 そして、光の部屋がすべて砕け、崩壊した。 上空ではオファニモン様とケルビモンが話している。――昔のケルビモンは、慈悲深いデジモンだった。どうして、こんなふうに変わってしまったのだろう。どうして、道を間違えてしまったのだろう。 ケルビモンの深い罪が消えることはない。でも、どうしてそんな罪を犯すようになったのか――わたしはそれが知りたかった。 「究極の善なる存在は……悪に染まりやすいといわれています」 「グアアアッ!」 そう言われたケルビモンは、オファニモン様に向かって攻撃し、オファニモン様はそれをかわしてケルビモンを自分の技で浄化しようとした。オファニモン様の浄化の光に包まれたケルビモンは、本来の姿であろううつくしい善の姿に戻る。 善のウサギは、泣いていた。――でも、数秒経つとまた元の悪のケルビモンに戻っていた。 「私が救ってあげましょう。私が司る、愛と生命の力で」 「あ、愛……?」 オファニモン様はケルビモンを引き寄せた。その額に触れる。また、あの清らかなケルビモンの姿が戻ってくる――その隙に、オファニモン様はケルビモンからデジヴァイスを取り戻した。ケルビモンはまた、悪に染まっていた。 デジヴァイスが、わたしたちの元へ飛んで行く。それを受け取ると、わたしたちは虹の光に包まれて、気付けば輝二くんと拓也くんのもとへ運ばれていた。 「皆! どう、なったんだ!?」 「わからない……」 泉ちゃんは、輝二くんと拓也くんにデジヴァイスを差し出した。 空ではケルビモンがオファニモン様を倒そうとしている。オファニモン様も負けじと聖の攻撃を放った。二体の究極体の力が相殺しあい、そして大きな爆発が起こる。ケルビモンは、空から墜落して、倒れた。 「ケルビモン、死んだのか!?」 「そう簡単にヤツが倒れるとは思えない……」 輝一くんが言う。間近で、ケルビモンの力を感じてきた輝一くんだからこそ余計にそう思うのだろう。 ケルビモンのことも気になるけど、オファニモン様もどこかに行ってしまっていた。探そうとすると、デジヴァイスから声が聞こえた。 『ケルビモンの力は、私が思っていたよりずっと強力だったようです。浄化しかない、と思っていたのですが、それも叶わず』 「……そんな」 『ここまで来てくださって、本当にありがとう。あなたがたの勇気に感謝します』 そのとき、再びケルビモンの落ちた方をみると――、再びケルビモンが動き出していた。 「オファニモンの力を以ってしても倒すことのできなかったケルビモンを、どうやって倒すことができるんだ」 『諦めてはいけない……皆のスピリットを集めるのです』 スピリット。 そう言われて、わたしは自分のデジヴァイスを見る。ここには、色のスピリットが二つと、世のスピリットがある。でも、スピリットを集めるって……一体どうしたらいいんだろう。 疑問に思っていると、輝二くんと拓也くんのデジヴァイスが虹の光に包まれて、姿を変えた。私たちのデジヴァイスには、何の変化もなかった。オファニモン様は「私の最後の力で進化させました」と言った。最後の力って――まさか。 「みんな、うえをみて!」 「デジタマ……、」 「……オファニモン」 オファニモン様は、セラフィモン様と同じように亡くなってしまった。ぶわ、と視界が涙でにじんだ。 そして、最期の力を使って輝二くんたちのデジヴァイスを変化させた。そこには、当然意味があるのだろう。スピリット集める、とは一体なんだろう。 ためしに、皆のデジヴァイスを近づけたけれど何も起こらなかった。 ケルビモンはじわじわ起き上がろうとしている。時間がない。 「……ッ! アグニモンが、何か伝えようとしている」 わたしも、シキモンが何か教えてくれることを期待してデジヴァイスを見た。シキモン、イナバモン、ヤタガラモンのスピリットが次々と表示されていく。――ああ、そうか。そういうことだったんだね。 スピリットを一つにするには、わたしたちの気持ちを一つにすればいい。答えは、こんなに簡単なことだったんだ。 「土は炎に」 純平さんがそう言ったのが最初だった。 「水は光に」 「木は炎に」 「鋼は光に」 スピリットが、輝二くんと拓也くんのデジヴァイスに吸い込まれていく。 「色は世に」 ただひとつ違うのは、わたしの色のスピリットだった。デジヴァイスのなかで、色のスピリットが、世のスピリットと一つになる。 それはきっと、色のスピリットは世の闘士から派生したスピリットだからだ。 「……オレたちには、スピリットがついている!」 「そうだ、スピリットと共に戦うんだ!」 今までよりもずっと強いちからで、戦える。そう思った。 「風は炎に!」 「氷は炎に!」 「雷は光に!」 「闇は光に!」 「色は世に。世は全てに!」 わたしのデジヴァイスから、輝二くんと拓也くんのデジヴァイスに向かって光が放たれた。 その瞬間、だった。二人のデジヴァイスがまた強く閃光して――そして。 「ハイパースピリット・エボリューション!」 「カイゼルグレイモン!」 「マグナガルルモン!」 ふたりは、新たな闘士へと姿を変えた。 130902 この話はオリジ展開入れづらくてつらい…(^o^) あと名前変換出なかった…! NOVEL TOP |