デイドリーム



イタズラ

夏休みの宿題でわからないところがあるからと、教えてほしいと荒北が家にやってきていた。

1年の時に宿題丸写しして、休み明けのテストで散々な目にあったらしく、今年は真面目にやるときめたらしい。

「あっつー、あとでコンビニデザートおごってよね!!」

「わーったよ。…で、ここはどうすんだよ?」

「えーっと、ここは…」

荒北が目の前で考え込みながら、ペンを動かしている。

骨ばった、長い指。
程よく筋肉のついた腕。

部活の時の格好見ても、結構いい体してるんだよね、荒北って。

サラサラの黒髪。
何にも手入れなんてしてないんだろうけど、なんかキレイ。
あんなに外にいてるのに、日焼けしないなー。

なんかいたずら心がムクムクとわいてきた。

「隙ありっ!」

そう言って、荒北の脇腹へ手を伸ばしてくすぐる。

「おぁっ!おまっ…、何すんだよっ!」

「エイッ!!」

思いっきりくすぐって、「やめろー」って言わせようとしたはずなのに…

「…あれ??」

気がつけば視界が反転していて、下にいたはずの荒北が私を組み敷いている。

「腕力で男にかなうわけねーだろ」

わたしの両脇に手をついて見下ろしている荒北。

「ええええ、あ、ごめん!!出来心だし…お願い、どいて…」

わたしのその言葉を遮るように、わたしの耳もとでいつもより低い声で

「ダァメ。さて、どーしよっかナァ…」

意地悪を言いながら、ニヤリ、と悪い顔をする荒北。

逃げようと思えばすぐに逃げられるのに、まるで蛇に睨まれたカエルのように動けない。
いや、これは狼に睨まれている…

「おとなしく、俺に食われてろヨ」

ほんの小さなイタズラのつもりが、狼にぱっくりと食べられてしまいました。


イタズラ/fin.

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