攻めが思い浮かべた体液をどちらか口にするまで出られない部屋

「真希さん、何を思い浮かべました……?」
ごくり、息を呑む。けれど、どきどきしている私とは逆に、真希さんは特に言い淀む様子もなくあっけらかんとしていた。
「血だな」
「血……血かぁ」
また物騒なものを。でも真希さんっぽいなと思ってしまう私もいた。言ったら怒られそうだけれど。
「ナマエ、どっか怪我は?」
「今はないと思いますけど……うーん、どこかにあるかなぁ」
痛みに慣れて鈍くなっていたりもするので、もしかしたら気付かず切り傷とか。そう思い、脚の内側などを見てみる。そのままひとり自分の体を確認していると、突然ぐいと腕を引かれた。
「? 真希さん、今見て――痛っ!」
後ろから強く抱き寄せられたかと思うと、ガリッと肌が傷つく音がする。まもなく首にじわりと痛みが広がった。首を噛まれたのだと気づき、慌てて後ろを振り返る。しかし、慌てる私を見て、真希さんはぺろりと唇を舐めながら、首を傾げていた。
「なんだよ?」
「なんだよじゃないですよ! もうー急に何するんですか」
首に手をやりながら、熱くなった顔を悟られぬように顔を背けた。しかし、真希さんはそんな私の顔を面白がるように覗き込む。
「今更、なに照れてんだよ。いつものことだろうが」
にやりと意地の悪い笑みを浮かべる真希さんに、ますます顔が熱くなる。
「もう! 真希さんそういうところ!」
「あ? なんだよ。そういうのが好きなのか?」
 なぜか機嫌よさそうに笑う真希さんに、悔しくなってぷいと顔をそむける。落ち着かずうなじを撫でていると、真希さんが私を呼んだ。
「ほら、開いたからさっさと行くぞ」
私を置いて、真希さんがひとり先に歩き出す。幾重にも重なった首の噛み跡を指でなぞりながら、私はその背中を追いかけたのだった。




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