これのつづき

椎名はうそつきだ。椎名の軽い言葉にいろんな奴らが騙されていく。愛してる、お前が一番好き、明日もくるよ。すこし浅黒いてのひらがからだをなぞるだけでからっぽな言葉を信じる。
椎名はそれをどんな目で見ていたんだろう。
俺はいつも椎名の目が怖くて仕方なかった。女々しくて気持ち悪い考えを見透かされてるみたいで恐ろしかった。茶色い目。俺が好きだった目。
椎名が触れたくちびるに手をやる。冷たい。投げ出されたボールペン。ペンだこがついた節くれだった手。あの転入生の手はもっと華奢だ。手だけじゃない。体も細くて笑顔が似合う美少年。さっき初めて話した彼はまっすぐで正しくて疎ましかった。それまで抱いていた嫉妬なんてかわいいものじゃない。わざわざ俺に椎名が好きだと言った彼は何を想って俺にそんなことを言ったのだろう。確かに椎名とセックスを一番していたのは俺だけれど。それを知られていることがもうすでに嫌だ。憎しみで頭がいっぱいで理由をきくのを忘れた。よりにもよってあいつは、あいつは俺にこういったのだ、体だけってのはむなしくないのか、辛くないのかと。頭が真っ白になった。
からだだけ求めて何が悪い、仕方ないじゃないか心なんて欲しくたって手に入らなかった。欲しくないとでも思うか。俺だってあれが好きだ。愛している。愛されたかった。叶わないで潰した気持ちをお前に分かるのか。幸せなお前に愛されるお前に、どうして分かる。頭が変に冷えて心臓がうるさく鳴き叫ぶ。お前なんかが俺を知ったように言うなそんな目で見るな憐れむな、俺は幸せだった!でていけ、もう話すことはない、会計とお前がどうなろうが関係ない、でていってくれ!目を見開く転入生から視線を下に下ろして机を睨み付けて痛む喉から音を吐き出す。もう放っておいてくれ、俺はお前なんかしらない会計も知らない、それで十分だろう?しばらくしてあれが出て行って、静寂。のろのろ生徒会室を見回す。無様だ。当り散らして、最悪だ。手足が重い。ぎしぎし椅子をならして力を抜く。照明がまぶしい。笑いたいような泣きたいような変な感じだ。気持ち悪い。淀んだ空気を吸って吐いてすこし眠ることにした。夢をみないように願って。

ピエロがなんで泣いているか君は知っているのかい


おそくなって本当にすいませんでした!お詫びの言葉がみつかりません…これでもよろしければどうぞお納めください。書き直し承ります。これからもこのサイトを見捨てないでいただければ幸いです。このたびはリクエストありがとうございました
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