最後にひとつ、キスをしよう
2012/01/27 02:05

王道でよく転入生にセフレなんかやめろよ!って言われてセフレ全部切る会計っているじゃないですか。そのセフレの中に会長さまが居たらいいなあと思いました
会長さまはちょい乙女だといい。うちには珍しくぴゅあっこ。会計は王道なチャラ男
落ちは包容力ありの副会長か親衛隊長か風紀委員長か一匹狼か…迷うな…んー、委員長、か…
いつか続きを書く、多分、忘れなければ


ーーー
俺は自分が特別だと、恋人までいかなくても他のやつとは違う位置にいるのだと思っていたのかもしれない。あいつは勘違いさせるのがうまいと知っていたのに。騙されてもいない。ただの勘違い。最悪だ。浮かれながらあいつからのメールを開いた俺を殴り飛ばしたい。BCCで送られて来たメールはどれくらいのやつが受け取ったのだろう。俺はその中で何番目だろうか。考えるまでもない、あいつの中で順番なんか無いのだ。秋の中で俺と隣の席のやつの間に差は無い。ショックだった。俺が秋を好きになっていたと知ったから。認めざるを得なくなったから。情けない。なんで、こんなに涙が出る。ばかみたいだ。くるしい、くるしい、いとしい。なんで、まだ好きなんだ。あり得ない。女々しすぎる。
昔も今も一生の恋だとは思っていない。ここを卒業したらもう会うこともない。暇潰しの延長線。それでも好きだ。せめてあと2年は恋人ごっこができると思っていた。ごっこですらなかったけれど。ぼたぼた水滴が絞り出すように落ちる。滲んでよく見えない画面を未練たらしく見つめる。いつまで見ていたってそこにあるものは変わらない。何も変わってはくれない。俺はあいつのセフレ。一言で切れる関係。本気のひとができたからもうセックスしないね。本気のひとはあの転入生だろう。きっとまた制裁が酷くなる。ざまあみろと真っ先に考えた自分が気持ち悪い。ああやっぱり俺は他のやつらと変わらない。嫉妬でどうにかなりそうだ。けれど俺は会長だから何もしない。そう思いこまないと俺が崩れそうで怖い。俺は会長で、あいつと寝たのはただの遊び、転入生なんかどうでもいい。深呼吸をしながら脳みそに刻み付ける。明日会ったら話すことは仕事はさぼるなということ、親衛隊を刺激するなということだけだ。間違ってもみっともないことはしない。俺は会長。この学園のトップ。こんな些細なこと何でもない。あいつが誰を好きになろうが知ったことじゃない。俺は誰も好きじゃない。
もう涙は止まった。どこも痛くない。苦しくない。好きじゃない。違う、最初からどこも痛くなかったし苦しくなかったしましてや好きじゃなかった、あんなやつ。パソコンを閉じて立ち上がる。眩む視界に堪えて風呂場に向かう。明日からまた騒がしくなる。これぐらいで狼狽えていたら話にならない。ここのトップは務まらない。冷たい水にからだを晒して目を閉じる。からだが冷え始めて震えだしてもまぶたの腫れが引かなくて冷水を浴び続けた。濡れたタイルに膝をつく。寒い。また溢れそうになる無駄なものを捨てるために水の勢いを強くした。軽くなるはずのからだはなぜだかどんどん重くなる。だから捨てられたのか。それならこのまま排水溝に流れていきたい。こんな自分がいることが耐えられない。消えて無くなれたらどんなに良いだろう。渦を描いて吸い込まれていく水がうらやましい。渦の中心に手を伸ばして水を淀ませる。吸い込まれそうになっている指先の痛みだけが妙にリアルだった。



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