コツンコツンッ、コツッ、・・・コツンッコツン、
不規則に鳴り響く小さな"コツン"という音。
まるで小さい子が石を壁投げてぶつけてるような軽い音だ。

それは壁の中から聞こえてくる。

普通ならそんな所から音なんてするはずもなく、当然外を確認しても誰も居ない。
それは間違えなく壁の中から誰かが何かを投げて当ててる音だった。



「幸村・・・」
「とりあえず、学校から出よう。
 相手が襲ってこないなら、刺激しないように通り過ぎたほうがいい。」


私は幸村の声にコクンと頷いて昇降口のほうにゆっくり歩いた。
するとその音は慌てた様に私たちの近くの壁をコツコツと鳴らしはじめた。
まるで"そっちにはいくな"というかのように。

そんなことは無視して駆け足で階段を下りて昇降口へ向かう。
でもそこにいたのは、血だらけの服を着てジャキン、ジャキン、と大きな鋏を鳴らす、
髪の長いマスクをした女の人だった。



「私、・・・キレェイ?」
「っ名前!、引き返せ!」


幸村の声に私は幸村の手をとって走り出した。
なんで幸村の手をとったか分からないけど、私は逃げるなら幸村とがよかった。
いや、一人で居たくなかっただけかも知れない。
このまま手を取らずに逃げていたら、幸村はきっと囮になって私を逃がしたから。

幸村はいきなり手を取られて私を見たが、私はそれでも何も言わずに走った。

段差は小さくとも、数は沢山ある立海の階段は駆け上がるのは少しきつい。
だからといって一段飛ばしにするのは手を繋ぎながらだと転ぶのは目に見えてる。
駆け上がるしかないのだ。

必然的にあがる息に喉の奥のほうからこみ上げる鉄の味を不愉快に思いながらも
幸村の手を引いて2階に降り立つ。後ろにはまだ姿は見えないが、
口裂女が大きな鋏を大きく開きながら迫ってくる。
幸村を偶然あいてた二階の教室に押し込んだあと、私も素早く教室に体を滑り込ませ、ドアの鍵を閉めて息を潜めた。

その教室は、なぜだか机が散乱していたがそんなのを気にしていられるほど暇じゃない。

(この部屋があいてたのは偶然か)

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