カツカツカツ、と相変わらずハイヒールの足音は廊下に響いてる。
うろうろしてるのか、音は大きくなったり小さくなったりを繰り返していた。

その音に紛れてたまに「何処…、何処」と聞こえるたんびに私たちは体を縮こませた。

暫くすると諦めたのか、音が止む。音が止んでから5分ぐらいが過ぎて私達はやっと体を楽にした。



「はぁ、行ったかな…」
「油断はできないけど、多分行ったんじゃないかな」

幸村が冷静に、呟いた。
その声を聞くと私は本当に安心したのか、勝手に涙が目から溢れる。

ボロリ、ボロリ。

瞬きをするだけでスル、と重力にしたがって落ちてくる。
私は急いで涙を拭うが蛇口をひねったように、止まらない。
ああ、もう何で今泣くかな!!と自分で自分を叱りながらも涙を拭う。
だけど、やっぱり、直ぐに瞳が濡れて涙が落ちてくる。



「っ、ごめ、んね…
幸村、だっ、て、…ふ、あんッな、のに…!」
「別にいいよ、名前は女の子だし、泣くのも仕方ない。
…大丈夫、俺が守る」

私は嗚咽になりながらも必死に言葉をつむぐ。
いい終えると幸村が優しい声で返事を返してくれて、
その後すぐに頭に重みがかかった。…幸村が撫でているのだ。
私は泣いてる場合じゃないと涙だけでも止めた。
さっきより直ぐに、簡単に止まったのは恐らく、幸村が声を掛けてくれたから。
多分私は幸村が泣く私を面倒くさいと思ってないかと、心配だったんだ。
いきなり変なとこに、いて怖いし、嫌われそうだしでどうしようもなく怖かったんだ。
でも幸村はそんな私を邪険に扱うんじゃなくて優しく慰めてくれた。
まるで、泣いてる理由が分かっていて「嫌わないよ」と言ってるかのように慰めてた。

私は泣き止んだら幸村を見ずに「頼りにしてる」と呟くように言った。
それは震えていて、聞きとりにくかったけど幸村をチラリと盗み見たら
幸村はフワリと笑っていて「嬉しいなあ」と言ったのが耳に届いた。

(こうやってずっと、頼りにされたいなんて)

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