駆け足で追っていったら奥のほうでズッダーンッと何かが壁に当たる音がした。
何かあったんじゃ、と思って足を速めて階段の方にいけば、そこには赤が。



「え」


テケテケだった。
壁には一面テケテケが潰れたように広がっていて
見ていて気持ちのいいものじゃなかった。

こみ上げてくる吐気を必死に抑えてテケテケから目をそらし階段のほうを見れば
幸村が座り込んで肩で息をしていた。

私は幸村の声を呼んで駆け寄る。
大丈夫?何があったの?どうしてこうなってるの?幸村は何をしたの?
聞きたいことは山ほどあるけど、まずはお礼を言うことが先決だ。
私はさっきの恐怖で冷たくなった手を熱い幸村の首とおでこに当てて



「ありがとう」


といった。
すると幸村は「どういたしまして」といつものような笑みで言ってくれたんだ。
その何時もと変わらない微笑に少し涙腺が緩まって涙目になってしまったが、
幸村は気づかない振りして「お互い、がんばったね!」と手を握り締めてくれた。

また、テケテケに目を向ければテケテケはもういなかったかのように消えていて、
残ってたのは血の跡と、壁に大きな衝突した跡だけだった。

(俺がどんなことをしたのかは、まだ秘密。)

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