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12.Comme un ami






12.Comme un ami











「お久しぶりですね、ミカル」

褐色の皇帝の隣には、青い軍服にその身を包まれた男が立っている。

彼は、赤い瞳を守るガラスを左中指で押し上げこちらを見た。


「あ…お、お久しぶりです、ジェイド、さん」

前に会ったのは数年前で、少し恥ずかしくなってしまう。
ほとんど変わらないその容姿は、それ以上前と同じではないのだろうか。端整な顔立ちをした彼は、知らない人から見たらまだうら若き青年に見えてしまうのでは?ミカルも実際に関わりを持っていなければ、まだ20代だと思うことは間違いない。これで33歳だというのだから一種の詐欺ではないか、とミカルは考える。


答えた少女を見据え、彼は気づいたように「おや」と呟く。

「陛下のことは兄と呼ぶのに対し、わたしはいつの間にやら距離をおかれてしまったようですね」

嘘臭い笑みを浮かべて両手のひらを空へ向けてひらひらと振る。
それを見て、またピオニーが笑う。

「へ、へへ陛下のことは、違います!ま…間違えただけ、です…」

思わず飛び出してしまった呼び方に、誰より恥ずかしいのは自分で。
顔が熱いのがわかる。

「わたしのことも今まで通り、ジェイドで構いませんよ」
「は、はい…ありがとうございます」
「俺のことも兄様でいいぞ〜」
「呼びません!!」

まるでタコのように赤くなったミカルを面白そうに見つめる二人。
この組み合わせは最恐だと心の中で呟いた。


そばに居た衛兵に宮殿へ戻るよう言われると、ジェイドがミカルの手を引く。
疑問に思ってピオニーの顔と彼の顔を交互に見ると、ピオニーがバツの悪そうな顔をして頭をかいている。

「?」

状況が理解できていないことがわからないはずのないジェイドも、何くわぬ笑みを浮かべてそのまま連れて行く。

その笑顔に体が震えたのはなぜだろう。


 


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