03




なに、ほんのちょっとの休息ってやつだ。

走り続ければ続けるほど酸素は欲しくなる。それといっしょ。
レイリーとのやり合いはすこぶる順調だし楽しいが、それで酸素が得られているかは別な話。
そんな俺はちょっと休日を作ってもらい、とある街にぶらりと連れてきてもらった。ニット帽をかぶり、スウェットと細身のジーンズに身を包んだのだが、シャッキーさんに買ってもらってきたスウェットには大きな猫の顔がプリントされていてなんだか気の抜ける感じである。
シャッキーさんにはあらかわいいわよ、大丈夫と言ってもらったが、かわいいって大丈夫なのか?
リミットは6時間後。迎えに来ると言って、俺をここまで船で送り届けた後、彼はルフィの様子を泳いで見に行ったのだった。
ここからそう離れていないとは言っていたのだが彼の尺度はちょっと、いや、大分狂っているので当てにしてない。

しばらく歩いていて感じたのだが、この街は適度に栄えており、港沿いの通りでは見たことのないカラフルな魚が並ぶ店や、きらきら光る雑貨を売る店などがある。
そして適度に柄の悪そうな奴もちらほら…こちらを見ているということは何だ俺に用があるのか。
聞くだけ聞いてやろうと人通りが少なさそうな路地裏を進み続ける。角を左に曲がり行き止まりに面した瞬間、

―――バンッ――――、


『あーあ、』


零崎に銃器は効かないんだからダメだよ、聞いてる?ああ、もしかして聞こえてない?
声をかけてみるが地に伏して動かない。


『まあいいや。で、あんた誰だ。』

「ひっ、っぁ、来るなッ!」

『あんたも銃か。今せっかく教えてあげたのに、なるほどバカなんだね。』


そのバカはトリガーを引いた。そして斬られた。
呆気なかったが海軍ではなさそうだしなと刀の血を拭いていると、はらりとその倒れている奴のポッケから地面にタイミングよく落ちてきた。
これ知ってる、賞金首の人が写っている手配書ってやつだ。しかしそこには紛れもない自分の顔と名前が書かれているではないか。
人相悪すぎ。


『――は、なるほど。納得した。理解した。把握した。そういうことでそういうことがあってこういうことなんだな、俺はめでたく賞金首の1人になったわけだ。二つ名はきちんと"世界最憎"なり"零崎"なりつけてほしかったがまぁ事実だ、その通りだ。二つ名"殺人鬼"とは至ってシンプル。』


じゃあお言葉に甘えて、"殺人鬼零崎"として生きさせてもらおう。
手始めにこの通りに面しているドアを開けてみると3人程度の若い男がタバコを吸いながらたむろしていた。


「なんだてめえ!」

『はじめまして、零崎を開戦する。』


運が悪かったと思ってほしい、遭ってしまったものはしょうがない。災害のようなものなんだ。
俺はどんな顔をしていただろうか。


「どうだった?休息は?」

『よかったよ。』


まだ海水が乾ききらないレイリーと潮風に吹かれながら船でのんびり帰路につく。
計5人、それで足りるのかと言われてみても俺はそこまで肉食ではないので事足りる。
あれから残った時間は楽しくご飯食べたり広場でぼーっとしてみたりリフレッシュにふさわしい過ごし方をした。
俺が何をしたのかなんて聞いてこないし、きっともしかしたら察しているのだろう。
だが、やめるつもりはさらさらないしそんなやめられるとかのレベルではないので、死活問題なので、どうか黙っていろ。
そう思いながら沈む太陽を眺めていた。


受け入れてもらえなくても仕方ない

(望まない)(期待してない)




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