05




処刑台前の広場で大将3人にルフィが立ち向かって、白ひげ海賊団が広場に乗り上がり、ルフィが黄ザルのビームを食らってノックダウンした時、狭くなった広場の一角がざわつく。
自然とそちらに誰しもの目が向けられ、ざわつく一帯の海兵をを倒して現れた少年は傷ひとつない状態ながらも刀を赤く染めていた。
その少年を見た黄ザルが声をかける。


「厄介だねェ。」

『厄介だ、か。そうだ、肯定しよう、厄を呼び込む殺人鬼だ。殺人鬼であるがゆえに零崎、零崎であるがゆえに悪。
―――だが、それだけだよ。我こそが正義と思うなら、死にたいやつも生きたいやつもかかってこい、全部まとめてぶっ壊してやるから。』


それを聞いて目を細めた黄ザルが無言で剣をとり、嘉識に斬りかかったが、嘉識は手首にスナップをきかせて刀を回転させて剣を弾き上げた。
そしてすぐ突きを繰り出したが避けられて背後に回り込まれ、その背中にビームが放たれる。
ビームを体を捻りながら跳んで避けて、そのまま回転斬りをしたらこちらに向けていた黄猿の手の甲を掠めた。
ロギアなのに切り傷。
それを見た周りの者は驚く。
覇気を使っている様子はないのに彼は大将に傷をつけたのだ。


「ほんと、厄介だよォ。」


間髪いれず迫ってくる嘉識を見て黄ザルは呟いた。
眼前の刀を剣で受け止めたら、視界は彼の刀の血で赤一色。
しかし攻撃が軽いと思ったら刀が音をたてて落ち、嘉識の姿が見えなく、気づいたときには遅かった。
その隙に、背後から黄ザルのわき腹に回転の勢いをつけた嘉識の蹴りが入る。
よろける黄ザル、刀につけていた紐を引いて落ちた刀を回収し、そのまま柄をつかんで突きを放つ嘉識。
あわや串刺しに…、とはいかず、黄ザルのわき腹を斬っただけだった。
ぼたりぼたりと血が地面に落ちるのを見て、目を細めた嘉識。そのようすを見てさらにどよめく人々。
それもそのはず、海軍大将に引けをとらず傷をつけてみせたのだから。


「傷がついたのは久しぶりだねェ…」


少し憎々しげにこちらを見る黄ザルに、嘉識は満足げに笑って応える。


『それはそれは、気分はどう?』


傑作だななんて言ったらビームがこちらに数発放たれた。
すべて避けているとその先に黄ザルがいるのを見て、なるほど誘導されたのかと納得する。
こちらに放たれた光速の蹴りを刀の面で受け止めたが、あいにく宙にいたところで蹴りをもらったので踏ん張ることはできないままぶっ飛んだ。
刀を地面に突き刺して着地するとそこにまたビームが放たれてきた。またやるつもりか、ワンパターンめ。
避けた先にまたいたが、今度は剣を構えていた。
攻撃を刀で受け止めると鈍い音が響き、その瞬間カッと視界が白く眩しく輝く。やられた、目がチカチカしてほとんど見えない中、足にビームが撃たれて動きにくくされる。
どこから来るか、やられてたまるかと気配を探ると頭上から近づいてきた。
もう一か八かだ。


「おわりだよォ!」


黄ザルは視界が覚束無い嘉識に止めを刺そうとかかと落としを頭上からお見舞いした。
しかし、嘉識はその足を左手で受け止めてみせ、そのまま足を掴む。


『その言葉そっくり返してやろう!』


にやりと悪い顔をして足を掴んだまま右手に持っていた刀で、黄ザルに袈裟懸けのように斬りつけた。
離れた黄ザルの姿は、肩口の部分は傷が深いが体をそらしたおかげで胸以降の傷は浅めで、さらに手の甲に切り傷とわき腹に傷がある。
その姿を直ってきた視界にとらえた嘉識。
その嘉識も足にビームを撃たれ、重い蹴りを受け止めた左腕は骨が折れたようで、赤く腫れ上がっている。
しかし怪我や負傷で嘉識の殺人衝動が収まることはない。
姿をとらえ黄ザルの元へ駆けたが、さきほどより速度は劣り、軽々と刀を受け止められ、ビームで反撃される。体を捻って避けようとしたら、体勢を崩した隙にみぞおちへ重い光速の蹴りが入って内臓がやられた。


『げほっ、』


鼻と口から大量の血を吐き出し、刀が手から落ち、ゆらりと体が倒れかけたが、倒れる前にビームが撃たれて倒れることができない。
追撃を止めず、黄ザルはふらつく体に剣を突き刺した。
嘉識の腹を貫通するが、しかし、剣を引けない。
嘉識は刺されている剣を左手で掴み、いつのまにか持っていたナイフを、剣を持つ黄ザルの手に突き刺した。


「っ、ぐっ、」


そのまま黄ザルの腹に蹴りを入れて距離をとる。
痛む蹴られた腹の傷を押さえながら忌々しげに嘉識を見ると、その顔は血を流しながら笑っていた。
その恐怖すら感じさせる表情には、黄ザルも笑みを溢さざるを得ない、そうじゃなきゃやってられない。


「参ったねェ…!」


お前のすべてを決めてやる

(潔く死んでくれ)




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