04




パーティな賑やか男はクロコダイルに任せて俺はまたひたすら屍を増やし続ける。
そんな調子で増やし続けていたら、驚くことが起こった。


「「「オヤジィイ!!」」」


なんと、自分の船の上で待機していた白ひげが仲間の手で刺された。白ひげともあろう男がこんな呆気なく刺されてしまうのか。
どうやら刺した男曰く、白ひげが自分の傘下の海賊たちを差し出して海軍に売り付けた、その代わりエースや白ひげ海賊団の安心は確保されているそうだ。そうはさせるかと断腸の思いで斬りつけたらしい。
なんと、胡散臭い。
しかし傘下の者からしたらそう言われてもいい状況であるのも分からなくはない。現に今、白ひげ海賊団はピンチだし。


「みっともねェじゃねェか!!白ひげェ!!おれはそんな弱ェ男に敗けたつもりはねェぞ!!」


そんな中、声を大にしたのはなんとクロコダイル、なんか、意外だ。
息を切らしながら白ひげが口を開く。


「スクアード…おめぇ仮にも親に刃物つき立てるとは、とんでもねェバカ息子だ!」


刺した男に、スクアードに手を伸ばし、やり返すかと思ったが。




「―――バカな息子を…、それでも愛そう。」


抱き締めたのだ、悪いことをした息子を諭すように。まるで、許すように。叱ることなく。
その姿が双識と重なって見え、家賊を思い出し、急に自分が孤独に思えた。
初めて殺した時、双識もああやって見つけられたことを喜ぶように、どうしようもない殺人欲に焦る自分がそうであっていいと許すように。
流血があってこそ生きていると、一人ではないと思う。そう実感するには家賊の存在は絶対的なのに、今は誰もいてくれやしない。それがどうしようもなく、自分を不安定な存在だと思わせる。俺はどうしようもなく一人なのだと思ってしまう。
そして白ひげは海軍に怒り、両サイドにある氷の波を叩き砕いて退路を作り出した。


「海賊なら!!信じるものはてめェで決めろォ!!おれと共に来る者は命を捨ててついて来い!!!行くぞォーーー!!!」


白ひげが船から降り立ったと同時にそらせなかった視線が動くようになる。
後ろから迫っていた海兵の攻撃を後ろ手で受け止めそのまま押し返して顔を踏みつけた。思い出した双識の顔が脳裏に焼き付いて離れない。


『っ、――!』


大きく横に刀を薙ぎ払い前にいた数人の敵の腹を斬りつけ、そのまま進み出す。孤独は薄れないし濃くなるばかりだ。
傾く地面も気にならないほど目の前に集中していて、殺人衝動もとめどないほど自分の熱量を、ボルテージを上げていく。
傾く地面に転びよろけた敵を斬り伏せて斬り伏せて斬り伏せて斬り伏せて斬り伏せて壊していった。
しばらくするといつのまにか斬る相手もいなくなっていて、湾内に包囲するように壁が作られる。
処刑台までの道が巨人の屍を越えるしかない状況。
ただ壁から砲撃をするだけかと思っていたら、壁の外から燃えている拳の形をした大きな岩石が降ってきて、足場の氷を溶かしていった。
これはうかうかしてられない、場所を移そう。
壁際のまだ氷が残っている方に行き、そこを足場として唯一の道まで駆け抜けた。


やめてくれ。それは反則だ。

(戻れないことは)(俺が一番よく知ってる)




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