02
ようやくタライ海流を経てたどり着いた海軍本部につながる正義の門は、固く閉ざされていたはずだが。
「あいた!!」
「どういうこっちゃい。」
開けないとか言ってたのに開いていく。 どういうことなんだと思っていたら後ろの甲板でとんでもないことが聞こえてきた。
「おれとエースはとうちゃん違うぞ。エースの父ちゃんはゴールド・ロジャーだからな。せっかくスゴイのに会ったことないんだと。これ言うとエース怒るんだ。」
「はァ!!?」
『は?義理の兄が海賊王の息子?』
「あ、それと…、これ内緒だった。」
「あァ!?」
待て待て待て、それが本当なら海賊王の血を絶やすという意味でこの処刑は大きな意味を持つだろう。
たとえ白ひげと戦争になろうと、やり遂げる意義はある。
なんとなく海軍の狙いがわかってきたところで突如、足場が揺れ、あり得ない大きさの津波にさらわれた。
『え、』
波に乗って叩きつけられたらしゃれにならないと思っていると、なんと今度は波が凍ったではないか。
なんて慌ただしい波模様だ。何これ真上に置き去りな感じ、どうやって降りるの。
下を見下ろしてみるともう戦争は始まっているようで、ルフィが焦りだす。
さらに電電虫から告げられた作戦は兄の処刑を早めるということでさらに焦り、さぁ急ごうと皆があわただしく動き出したが。
『だけどそんな皆船の前に重心乗せたらさ…』
「「あ」」
言わんこっちゃないとはいうのはまさしくこのことであり、船を乗せていた氷が音をたてて砕け落ちた。
船ごと真っ逆さまに落ちている中で周りで責任転嫁が行われているのを耳にして思うのだが、やっぱりなんだかんだ皆仲いい。
『ほんと落ちるの多いね。』
「だから君は冷静すぎなんだガネ!!」
『いやだってどうしようもないし?』
「なんとかしろォ!」
こうなってくるともはや傑作だ。
しかしただ落ちるわけにもいかないので、近づいてきた地面を見据えて刀を手に取る。
刀を上段に構えて体を縦に前回転させ、勢いをつけ、タイミングを見て、刀を地面に叩きつけた。
衝撃。手がびりびりする。 ふわりと体が一瞬浮き上がる。
着地した目の前に広がる光景は、本当に戦場と呼ぶにふさわしい光景だった。
「エーースーーー!!やっと会えたァ!!」
戦場の視線という視線がこちらに向けられる。 いや、俺には向けられない。
その方がいい、呼吸は無意識に行われるもので、今ここは零崎を行いやすい環境だ。 喉が乾くような感覚がする。
そんな中、早速白ひげに仕掛けた男、クロコダイルをルフィが止めに入った。
砂に蹴りが効いたということはやはりロギア系の悪魔の実とはいえ弱点があるのか。
「小僧、その麦わら帽子、赤髪が昔被っていたやつによく似てるな…。」
「おっさんシャンクス知ってんのか!これシャンクスから預かってんだ。」
「兄貴を助けに来たのか。」
「そうだ!」
「相手が誰だがわかってんだろうな、おめェごときじゃ命はねぇぞ!」
「うるせェ!お前がそんな事決めんな!おれは知ってんだぞ、お前、海賊王になりてェんだろ!!海賊王になるのはおれだ!!」
『(またケンカを売ってる…)』
ルフィが白ひげに対して張り合っているのは予想できた光景だが、いざ目の前にするとほんと自由だなと思う。
さあ、傲慢を唄え!
(貪欲に欲しがってみろ)
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