08




熱は広がるもので、数時間経った今ではニューカマーたちも応援している。
人の熱意は改めて、人を動かす力があると感じたのだが、はたして奇跡も動かせるだろうか。 眠くなりそうな意識をなんとか持ち上げていると、イナヅマが無言で炭酸を持ってきてくれた。
あ、どうもどうもと思って一口口に含むと強烈な炭酸が口の中で弾けて思わず咳き込む。このやろ。
むせているといつのまにか扉から絶叫が聞こえなくなって…いやまだ2日経ってないけどと思いながらじっと扉を見つめるしかなかった。
次第に扉から血が大量に流れ出てきて、誰も言葉を発しない。


「治療の途中で激痛が止まることはない。つまり途中で声が途絶えたってことは…」

「麦ちゃん…!」


涙を流し続けるボンちゃん。
しかし、そんな悲しみも束の間、内部からドアを叩く音が聞こえた。


「メーーシーーー!!」

『……すごい。』


たった20時間で毒に勝ったのか。
驚いていたら、周りにどんどん飯が置かれていき、ルフィの手が伸びてくる。 いや俺は飯ではないからこっち伸ばさないで。
元気になったルフィを横目にこっから救出行くのかと思いながらイナヅマに武器をくれと頼んだ。
さすがにもう手ぶらはダメだろ。
ナイフ2本もらって帰ってくるとルフィがピンピンしてた。


『おお、おかえり。』

「おう!」


そしてイワさんに向き直る。


「生きられた!俺たちのこと助けてくれてありがとう!」

「…礼を言うなら、ボンボーイに言うんだね。ヴァターシは能力を使って少し力を貸したに過ぎナブル。だがそいつはね、何時間も何時間も何時間もノドが裂けて血を噴いても、ずっとここで苦しむヴァナタと共に苦しみ、頑張れと、生きろと叫び続けてた!ヴァナタが命を取りとめた事に、何の影響もなかったとは思えない!!」


それを聞いたルフィは気を失っているボンちゃんに深く頭を下げてお礼を言った。


『ルフィ、早速で悪いんだけど、行かなきゃ。』

「そうだな!イワちゃん!ボンちゃんを頼む!」


ごそごそと帽子からビブルカードを出して向かう足取りはふらふらで頼りない。
イワさんにも脱獄するかと問いかける。 答えはNOだ。
どうやら革命軍のドラゴンが動かないと脱獄しないらしい。 さすがにドラゴンは俺でも知ってます。
と思ってたら、とんでもない爆弾発言が聞こえた。


「ああ…俺の父ちゃんか…」

「父ちゃん!?」

『は?』


本気で言ってんの?
イワさんは焦った様子で出身を聞くとイーストブルーとルフィは答え、その答えになにやら納得している。 そしてイワさんを声高らかに脱獄の意思を示した。


「ヴァターシはあなたの父親の仲間、革命軍の幹部よ!だからここに捕まったし、時期を待っていた。同胞の息子を目の前で死なせるわけにはいかないわ!!共に行く者は死を覚悟して、戦闘準備を!!」


いやはやほんとこの男は人を動かす力があるな。 運が良すぎる。
テンションホルモン打ってもらってるルフィを眺めながら感心したと同時に、遠く感じた。


俺は君が心底苦手だよ

(そんなあんたが)(好きになれない)




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