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はい、そんなこんなで、麦藁海賊団に入団しました。
いやほとんど無理矢理だったような気がしたがもう気にしないことにする。しかし、サイズの問題で女物のパーカー着る羽目になるとは思わなかったな。ちなみにスカートはさすがに即却下、似合うからなんてぐいぐい言われたが必死に逃げ切った。早く成長期が来てほしいものだと今日ほど切実に思ったことはない。
ま、そんな服事情はおいといて、次の目的地は魚人島とのこと。その魚人島にどうやって行くかがこの船の悩み所らしい。俺はもちろん知らない。
それに人間以外の種族、魚人なんて見たことがないからちょっと楽しみだったりする、どんなやつなんだろうか。頭が魚?


「どう?ロビン、ブルック、ルフィ!」

「駄目ね、真っ暗で何も見えない。」

「おっ、今あれ!何か光ったぞ!」

「光ったって何がです?ってアレはっ、怪物の目玉では!?死ぬっ、死にます!ってもう、私一度死んでるんですけど!ヨホホホホ!」


………本当に偵察行かせてよかったのか心配になってきた。何なのこのテンションの高さ、怪物に追われて笑うとか。死ぬとか言いながら笑うとか。
ちょっとというか大分あんたら頭おかしいんじゃないのなんて思う。海底での出来事なんて船上にいる俺が分かる由もないんだけどさ。


『潜水艦、かー。』

「なんだ、おめェも行きたかったのか?今度乗らせてやるよ。」

『え、本当?それは楽しみだな。』


潜水艦なんて乗ったことないし、なんて言えば、アウ、楽しみにしてろよと言って頭をガシガシといささか乱暴に撫でてきた、…サイボーグの力強い。
手櫛でぼさぼさになった髪を直しながら航海士に改めて尋ねる。潜水艦組も帰ってきたようだ。


『で、どうするわけ?』

「どうするも何も…空島以来の手詰まりだわ。」

『え。空島とか、何それ羨ましい。』

「行き方分からなくてすっげー大変だったんだぞ!」

『ああ、確かに、想像に難しくないね。空に昇るのも海に潜るのも船ごと行くのは到底難しそうだ。』


その行き方からそもそも魚人島は実在するかという話にシフトしていく様子を梨のタルトを食べながら眺める。
原型をみたが、あのグロテスクな形の梨で何でこんなおいしく作れるのか不思議でならない。
俺も以前は料理していたがここのコックと比べれば全然レベルが違う、当たり前なんだけど。
そのコックから完璧な手詰まりだという言葉が煙と共に吐き出された瞬間、船が揺れた。


「何じゃありゃ!?」

「おめー!さっきのヤツだ!着いてきた!」

『さっきのって、潜水艦でぎゃあぎゃあ騒いでいた怪物とやら?』

「そうよ。」

『ウサギなのか魚なのかはっきりしろよ。』


俺の言葉と同時に誰かの悲鳴がシンクロした。
やっぱり気になるらしい。
そんな気になる怪物は海兎というらしい、ウサギか。
鼻息が船上に吹き付けられ、戦闘モードに切り替わる船長。…っていうか鼻息ってことは肺呼吸なの?エラ呼吸じゃないの?
あれどうやって酸素取り込んでのかな、イルカみたいなものなのだろうか。
そもそも肺があったとしても深海で見られたなら肺は潰れてしまうのでは。
しかも深海なら呼吸だって儘ならないはずだし……そんなちょっとずれたことを思いながらぼんやりと倒される海兎の様子を見ていたら顔の前で手を振られて、はっとする。目の前にはコック。


「まだ体調悪ィのか?」

『いや、…考え事してた。』

「考え事?」

『すっごくくだらないこと。』


真顔で告げたら、心配させんなよとまたもや頭をガシガシと撫でられた。
何で皆撫でるんだ、ぼそっと呟いたらどうやら聞こえていたらしい。


「ちょうどいい位置に頭があるもんでな。」


ニヤリとした顔で言われたそれは、つまり俺が小さいと言っているのと同じことで、こめかみがぴきりと音をたてた。


ぶっとばすぞ!

(拳を握りしめて)(歯をくいしばれ)




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