07





人は言う、


――彼は、殺人鬼なんかじゃない、


ただ破滅を繰り出し、人の命を喰らう、もはや化け物である。





口から漏れるは嗚咽。むせびりそうなほどの嗚咽。
涙は出なかった、目を見開いても、透明な涙が出ることなどなかった。
変わりに流れたのは血涙だが。
どれだけ咳き込んだ、指先が地面に傷を刻み付けた。
伸びた髪の隙間から覗く瞳は鬼気を帯びて。
俺の胸の中で今にも爆発しそうなほど、くすぶっていた感情は、殺人鬼の純粋なる殺気をだだ漏れにさせるほどの、怒りや憤り、復讐心……、憎悪を急激に増幅させていった。


『………あ、はっ、』


まったく、おかしい、傑作だ、笑いが込み上げてきた、だが、狂ってしまいそうな脳内で、ただ理解していることが一つだけ。俺は、"破滅世界"だ、だから、身内を仇なす邪魔なものはすべて、


―――壊せばいい。
そう理解した瞬間、燃える屋敷を眺める人々を片っ端から斬って壊して殺して斬って壊して解体して終わらせて、そうして、幾人もの人が地に伏している中、俺は歩みをやめない、少しずつソヴェルに近づく。


『お前は、絶対!殺す!』

「貴様何者だ!」

『"破滅世界"、』

「そ、ソヴェル様っ、海軍へ、お早く……ぐあっ!!」

「ひっ、あ、き、貴様!!俺様にこんな愚弄を働いてっ、ゆ、ゆゆゆ、許されると思うなよっ!?」

『そんなのいらない。』

「っ、早くこいつを討ち取れ!!」


ガチャリと銃口に包囲されるが、そんなもん――。


『殺人鬼に、銃器は効かない、』


これ常識だから。
周囲に円を描くように一太刀振り抜けばビチャリと一斉に不協和音奏でて崩れ落ちた。
ついでにソヴェルの体も地面に崩れ落ちた、随分と恐怖で染められている。
刀についた血を払い、死体を踏むのもお構い無しにソヴェルに近づいて、


「うぎゃあああああ!」

『喚くな。』


騒がしい、耳障り。とりあえず逃げられないように足に矢を一本ぶっさす。
腕に返り血がついたが…、まあいい、整った顔を涙や汗でぐしゃぐしゃ歪めるソヴェル、何泣いてんだか、首に切っ先を向ければ青白い顔が余計青くなっていった。



崩壊する自制心

(外道、残酷、冷酷、)(なんとでも)(誰にも止めらんない)





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