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「親愛なる海賊ご一同、敵船同盟入り乱れ酒を酌み交わすのもまた一興!来るもの拒まず去る者追わず、この世界一の大宴、海賊万博にぜひ参加されたし!」

「ん〜!見えたぞ〜ッ!」

「フェスティバーーーール!」


ブルック曰く、それは何年かに一度突然開催される武器やら食べ物やら船やら情報やら珍しいものが集まるお祭り。海賊の闇市みてえなものかというフランキーの言葉に頷きながらジュースを飲む。
ははあ、なるほど。この世界で万博という言葉を聞くとは思わなかった。
さらに今回は、余興として海賊王ゴールド・ロジャーのお宝探しを用意していると告知すればどれだけの海賊らが集まるか。島へのエターナルポースも同封されたこのお便りは数日前に届き、乗り気になった面々によってこうして会場まで向かっているわけだ。
さらにロビンが、主催者ブエノ・フェスタは黒い噂が絶えなかった世界一の祭り屋であるが死んだはずだと怪しさ満点の情報を付け足すが、それはそれぞれが心に留めておくぐらいにしとく。まあ見ての通り船長が宝探しやる気満々だからなに言ったところで無駄なのだ。

島に上陸するやいなやルフィたちはおいしそうな食べ物の屋台に一直線。次々と平らげて行く様子を見て、果たして宝探しの準備だけで済むのかと少し不安になった。
あんたもちゃんと準備すんのよと渡されたお小遣いを手に一人でぶらつくものの目ぼしいものがそこまでない。正直今着ているパーカーとレギンスで充分だと思う。なんとか何か買おうと頑張った結果刀を包む布迷彩柄を新調したところである。別に刀以外のもの入手したところで使いこなせる自信はないし、食べ物もさっきホットドッグ頬張ったし。
なんだかんだふらついていた結果、ここどこと地図を眺めていたら後ろからどん、と誰かにぶつかられてちょっと前のめりに躓き、おっと、と声が漏れた。


「おい何してやがるたしぎ。」

「す、すいません!大丈夫ですか?」

『だいじょうぶ、…あ、?』


ぶつかってきたのはどこかで見た顔。女性の方はあんま見覚えないけどこの白髪のいかついお兄さん…おじさん?微妙な年齢。
とにもかくにも、ピンと来た。パンクハザードで見たなこの海軍。
俺が気づいたことに気づいたのだろう。目を細めた男に向けて口元に人差し指を当ててみせれば信用ならねえと呟く。


『今ここで騒いだところで俺にメリットはないし、まあいてもおかしくないと思ってるし正直そういう気分でもないし。なに、それとも騒いでほしい?』

「…こんなところじゃなけりゃ、しょっぴいてやれるんだがな。」

『まあお互いお祭り楽しんでいこうよ、見なかったことにしとくから安心して。』


忌々しげに一瞥をくれて去っていく二人の背中を見送る。いや、海賊っぽい格好してて面白いんだけど。



足元の日常
(束の間の休息タイム)




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