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「ワーオ、アメイジング!」


もしや、麦わらの一味御一行様では、と港に降り立ってすぐ声をかけられた。
その女性はVIP専属コンシェルジュ、バカラと名乗る。それに対して約1名はすでに目をハートにさせてコックのサンジですと名乗っている様子を冷めた目で眺めるのはもう慣れた。
曰くVIPリストに載っているから存じているとのこと。有名になったといい気になる面々はさておき、さあどうぞこちらへと案内され、リムジンのような形のオープンカーが走ってきたが、亀がどうやら動かしているようで、人力…いや亀力?とにかく動物虐待案件ではないかと思ったがまあそれはそれ。
彼らはそういう仕事に望んで就いたのかもしれないしね。


「うっわふっかふか!」

「飲み物もあるぞ!」

「おっ、酒もある。」

『座りごごち良すぎてもう無理。』

「おらぐでっとするな。」


サンジにスパンと頭叩かれた。いやいい音。
出発した車で最初はダウンタウンエリアというリーズナブルなエリアを突っ切っていく。
この船、全長10キロとか長すぎるんだけど。独立国家が船の上に成立しちゃうのすごい。
続いて入った高級エリアはまた景観が違って金ピカに輝く街となっている。ここのオーナーであるテゾーロはこの国の王であり世界一のカジノ王でありエンターテイナーで…とにかくなんか派手なことは分かった。金が好きなんですね。
それに目を輝かせたナミやウソップの様子を見て、バカラから街にある金の装飾等もちろん盗んだらいけませんと忠告が入った。電伝虫が見てるってさ。


「早くカジノ行こうぜ!カジノ!」

「ええ、でもその前に、皆様には相応しい格好をしていただかなくては。」

『いやそういうのは、』

「ちょっと嘉識!あんためんどくさいだけでしょ!?サンジくん!」

「お任せくださいナミすわん!おら行くぞ!」


首根っこ掴むのはやめてほしい。誠に遺憾です。俺は猫か。
男子更衣室に連れていかれ、各々が好きな衣装を見繕う中サンジが持ってきた服に渋々袖を通す。お風呂入って着替えた意味はどこに。
白を基調とした衣装にみんな着替えており、俺も御多分に洩れず白のスラックスに白のショートブーツ、濃いめの赤のシャツに白いベスト。こんな真っ白じゃすぐ汚してしまいそう。
これつけろとジャラッとゴールドのアクセが持ってこられたがいや重そうだからいいやと断った。
お前の刀の方が重いだろというツッコミは聞こえないふりをする。


「ねえ、ほんとにこれツケでいいの?」

「はいもちろん。VIPのお客様ですから。」


そう、ただ勝てばよいのだと。単純。
金ピカなタワーにカジノ施設が入っているらしく早く行こうぜとルフィが騒いでいる中、やんややんやとちょっと汚れた子供達が駆け寄ってきた。
花を買ってくれと押し付けるように差し出してくる。


「わかったわかった、いくらだよ?」

「五千ベリー!」

『高い、一輪の花にしては。』

「しかたがねーだろ!」


お金がないと自由になれないと騒ぐ子供たちに、コンシェルジュが声をかけに行く。


「あらあら、わたしのお客様に何をしているの?ここはあなたたちが来る場所ではないでしょう。早く、お帰りなさい。」


なんというか格差というか、闇が見えた気がした。


愉悦
(すべてが思い通りに)




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