03
今起きたことを簡潔に言うならば最後尾にいた錦えもんとカン十郎が落ちた。
何で上から降ってきた小猿を危ないとみんな避けている時に目隠ししてだーれだってやってるのかバカなのか。
無論、そんなことをしていれば避けられるはずもなく小猿もろとも激突して落ちていった。
落ちていった彼らにウソップが大丈夫かと声をかけてみれば、なんとか先に行ってくれという声が返ってきたので生きてはいるらしい。
それを聞いてルフィたちはいや何をそんな水臭いことを言っているのだ、引き返そうと龍に声をかける。
「おい龍!下へ引き返…!」
「リュー!引き返して…!」
『…ああ、これは、』
ぜーぜーと辛く息をする声が聞こえ、気の毒すぎて皆何も言えなくなる。
なんて辛そうでかわいそうな龍だろうか。絵のクオリティが良ければ飛べたのだろうか。
致し方なし。とりあえずこのまま行ってもらう方向にまとまった。
日が暮れそうになった頃ようやっとてっぺんが見え、頑張れ頑張れと熱が入った応援をする。いつのまにかりゅーのすけという名前までついているし。
「着いたぞーっ!!」
歓声をあげて各々が龍の上から降り、到着に喜ぶ。
しかし、りゅーのすけはその場でにこりとしながら徐々に透けていった。どうやら目的達成につきここで消えちゃうらしい。
『あれ、消えそう…。』
「何ィ!?おい!待ってくれ!」
「りゅーのすけ!!」
そんな呼びかけに応じることなく、笑みをたたえたままりゅーのすけは元の絵に戻ってしまった。やっぱこうして見ると下手な絵である。
一方、号泣しながら別れを惜しむそんな彼らを冷めた様子で眺めるゾロとトラファルガー。
「茶番だ。」
「ただの下手な絵だろ。得体の知れねェ土地だぞ。振り返るな、常に前方に注意を払え!」
そう言われ前方を見やれば、確かに門が存在し、象の背に文明が築かれていることが分かったのだった。しかし門の扉はこじ開けられた跡があり、この国に何かがあったことも物語っている。
まあ物騒なことは歓迎するけど、面倒なことはやめてほしいと思いながら足を踏み入れた。
やる気なしです!
(早く全快したい)
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