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東の丘の花畑にひっそりと建つ小さな一軒家。
夜もとっぷり更けた頃に一人訪問者がやってきた。曰く、ルフィのもう一人の兄だそうで、通りでコロシアムから出て来た時あんな大号泣をしていたのかと思い出す。
ちなみに俺はそんな中、トラファルガーに治療してもらったが、ほんと電池切れみたいな感じで意識は明朗なのに体が全く動かない。
金縛りってこんな感じなのかなと思いながら頭だけ上げてその訪問者を見つめる。


「そういえばお前もルフィの仲間なのか?手配書じゃちゃんと麦わらの一味って紹介されてないだろ?」

『あーたしかに2年前は乗せてもらってるだけとか言ってたし海軍の情報がそのまんまならそうなんじゃない?まあ、でも今回の件でこっちに属してるのはほぼ確実に分かったでしょ。』

「こんな女の子が殺人鬼って名前は物騒だな。」

『…!?』

「オイ女の子だってよ。」

『にやにやするなよあとで覚えとけマリモくん。そして訂正、女の子じゃありません男です。』

「男!!?…そりゃ、悪かった…。」


少なからずちょっとは身長伸びたはずだし成長したんだからそろそろ女の子って見られるのもなくなると思ってたけど、え、まだなの。
かっこいいか可愛いかで言えば自分で言うのもなんだけど、確かに可愛い方だとおもうけど、…いくらなんでももうさすがに女の子に見られることはないかと思ってた。
そんな思考はお兄さんには分かるよしもなくこれまでの経緯を語り出す。


「俺はずっと、死んだことになっていた。ガキの頃にエースとルフィと3人で暴れまわって、ガープのジジイにしごかれて、将来は海賊だって俺たちは兄弟の盃を酌み交わしたんだ…。」


しかし事故に遭いルフィの父親ドラゴンに救われた時には記憶を失っていた。両親の元へ帰りたくないという本能に近い拒絶でそのままいっしょに航海することとなったのだ。
そんな中記憶を思い出すきっかけとなる出来事が起こる。
自分は一体誰なのか、それを呼び起こすには大きすぎる出来事だった。
火拳のエースの死。
世界各地に大々的に報じられたそれは、幼い頃の記憶を呼び戻し、そしてもう誰も失うまいと行動するきっかけにもなったというわけだ。
彼のその後悔や辛さや怒りや憎しみはすごくわかるから応援してあげたくなる気持ちもある。
まあ革命軍なんてそうそう滅多に会うものでもないと思うが。


「…じゃ、帰る!顔も見たし。これ、一応ルフィのビブルカード作っといた。欠けら貰ってくよ。」

「へえ、いつのまに…。」

「ほんじゃ、ルフィにゃ手ェ焼くだろうが、よろしく頼むよ!」

「おう!任しとけ!」

『涙で顔面ばちばち火花散ってるけど大丈夫それ。』

「アウ!こんな話聞いて泣かずにいられるかよ!」



単調な相づち

(だって知らなくていいことは喋りたくない)




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