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人であれば関節の動き方とか、可動域とかそういうのが決まっているから、それに従ってどう動けば自分の攻撃が当たりやすいか導くことができる。たとえ糸でできた人間が相手であろうと、脳から神経を伝わり指先1つまで瞬時に動かすことができる。
だからどうすれば今首を斬れるかなんてこともすぐわかる。

これで3体目のマリオネットの首を斬った。
マリオネットと糸を切り離しては首を斬ったと思えばまたマリオネットで、という繰り返しの果ての3体目。
埒があかないが、今のところ考えられる攻略が糸を出せる量を減らして本体に行き着くという方法のみ。
ぜえぜえする荒い息を弾ませながらドフラミンゴを見やると相変わらず笑みを貼り付けたままだった。
何回か浅く斬りつけることができたがその分こちらも糸で切られた傷がついている。分が悪い気がした。


「フッフッフッ…、どうせ、俺のこの能力は俺自身が糸であるとでも思っているんだろうが、違う!」

『う、わ、』

「俺は、覚醒した能力者だ。

―――エバーホワイト!!」


地面が揺らぎ、形を失い、全てが糸となってうねり、まるで糸の海のように波を打つ。
糸になるのが自分だけではないとなると今までの戦法は無駄だったということだ。そういうこともできるのか、超人系能力者って。
さて、そうなると糸に成り代わる前に斬るしかない。
できないことではないのだ。
現に今でも彼にいくつか傷をつけられているのだから。
呼吸が難しくないように、人を殺すことだって難しいことではない。

足場がない地を蹴り、宙を駆け抜ける。
捕らえようとする糸の束をくぐりぬけ、そして、壁となる糸の壁を斬らず、相手にも自分にも映らぬ姿へ糸の壁越しに刀を突きつけた。ぶちぶちと糸の壁を突き破り、視界に映るその姿。刀が突き刺したのはドフラミンゴの脇腹。
不思議な感覚で、お互いの荒い息が響く音だけが聞こえ、静かに彼の背後でうごめく糸がスローモーションに見え、そして彼はやはり笑っていた。


「千本の矢、フラップスレッド――」


糸なのに金属と金属がぶつかるような鈍い音がした。
それでも、足を絡みとられた今、何回目かの衝撃で刀が弾き飛ばされ、そして、為すすべもなく糸の束が視界を覆い尽くした。


たまには役に立ってよ

(殺人鬼なんだからさ)




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