06




船が飛ぶ瞬間トラファルガーにおばさんを渡せと言われ渡す。そしてすぐにパッと消えたと思えば鉄橋に移動しているのが見え、俺も船から降りる。
何してんだというサンジの声は飛んでいった船に持っていかれて最後まで聞くことはできなかった。
水面を走って彼らの元に行けば、トラファルガーにも何してんだと言われた。


『同盟相手を残して行けるわけないし、それに好きにしろってさっき言っていたでしょ。』

「ッ、勝手にしろ!」

『どうも。』

「…さっき黒足が現れたが、ウチの作戦にも色々と支障が出てる様だ。お前のやっていることはただの逆恨みだ、ロー!!」

「恨みじゃねェ…俺はあの人の本懐を遂げる為、今日まで!!生きてきたんだよ!!」


その言葉と同時に橋が細切れになるのを太刀筋を読んで避ける。邪魔になるつもりはないから好きにやってくれということだ、俺も好きにやるし。
こんな大雑把なのをドフラミンゴが食らうはずもなく、各々が失われた足場から離脱していく。
先に仕掛けたのはトラファルガーだった。 剣で斬りかかるもドフラミンゴの爪から出た糸がそれを止め、長い足でトラファルガーのアゴを蹴り上げる。
うわ痛そうと思いながら、倒れたトラファルガーを踏みつけようとするドフラミンゴに斬りかかった。意外と身のこなしは軽く、振り向きざまに回転蹴りをしてきたので負けじと覇気を纏った脚で相殺する。
指をこちらに向けたのが目に入り、体をのけぞらせると腹部すれすれで糸を弾丸にしたものが放たれた。某映画にこんなシーンあったな、なんて呑気に考えている場合じゃない。
すぐさま地面を削りながら刀を下から上に振り上げれば、ドフラミンゴの手先をかすって朱色が白い袖口に滲んだのが見える。
そして、ゆらりと彼の背後で起き上がった男の目はぎらついていて、ドフラミンゴによほど執着する理由があるということを物語っているようだった。
お互いの攻防の結果、次々と崩壊されていく足場のせいで、どんどんドレスローザに近づく。
いやまあ所詮工場を壊すための時間稼ぎだから頃合いを見て逃げるのがベストなんだろうが、果たしてそんな上手く逃げ出せるかどうか。現に地力の差か、トラファルガーは押され気味であるし、逃げ出すつもりもあるのか。
倒れこむトラファルガーの前に立ち塞がると、ちょうどドフラミンゴに電話がかかってきた。
サンジを利用して作戦を知ろうとしたがその作戦を知るための要が裏切ったとのこと。
しかしドフラミンゴ的にはもう知ってるからどうでもよい作戦となってしまい、続けて電話相手の部下を工場に配備するよう伝えた。
それを聞いてくっと口角が上がってしまう。


「…あ?何がおかしい?」

『そんな警備させたら工場はここですよと言っているようなもんじゃないか。まだ場所を分かってないかもしれないのに。』

「来たところでうちの幹部が潰すまでだ。」

『いいや違うね。うちの人らを見くびってもらっちゃ困る。』

「フッフッフッ!欠けた一味なんざ敵にならねェよ。」

『作戦はもう掻き回されてるのに?』


ピキッと額に青筋が浮かぶのが見え、自分の顔がより濃い笑みになったのがわかる。トラファルガーが息を切らしながら立ち上がり、俺の肩を掴んで後ろに下がらせた。
まあよっぽどの事情があるのは察しているから優先させているが、あとどのぐらいのガッツがあるやら。
再び笑みを貼り付けたドフラミンゴは今度はトラファルガーに話しかける。おしゃべり大好きか。


「つまり、お前らは囮でその間麦わらの一味が、工場を破壊する…。ロー、お前は死んでも、俺はカイドウに追い詰められる。そういうシナリオでいいか?ところが、奴らはまごついている。利用したと言いつつも…、この作戦には奴らへの莫大な信頼が必要だ。なぜ、そこまで麦わらを信じる!?」

「…ハァ…ハァ…Dは、また…必ず嵐を呼ぶ…!!」


どういうことなんだか分からないが、モンキー・D・ルフィという名前がトラファルガーをここまで信用させるらしい。
なんともまあ数奇な世界だと久し振りにこの世界を俯瞰的に考えた。


やってやろうじゃねぇか

(あんたがその気なら俺も頑張りますか)




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