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気が済まないという彼らに縛られた状態のおばさんがボッコにされている。ナミは雷落とした、無抵抗な相手になんてことをと思うが今更か。
とにかく事情がどうであれ呼ばれたのだからとトラファルガーの元に向かう船。


「シーザーを受け取るってどういうことだろう。」

「そうですね、ドフラミンゴは七武海をやめたのですから、シーザーは返してしかるべき。」

「あ゛、あーた達、…何も知らないのざますね…おめでたい…オボボボ…。若様は、ガキどもの交渉など本気で受けやしないよ…!若様は七武海をやめてなどいないざます…!」

『七武海に世界を狐に包ませるようなことをできる権限ってあるわけ?』

「若様のこと、何も知らないがら…命取りになるざます…!」


国王特権とかか、いや世界相手に一国の主人ができるわけないしどういうことだと思いながらナミに言われたとおりに舵を切る。
まあおそらくあんなどっかんどっかん音していたってことは交渉決裂、ドフラミンゴがいるのかもしれない。まあ、恐怖心煽るだけだから黙っておくけど。

そうこうして着いたはいいが、トラファルガーが来る様子は見られない。
ぼんやりと船のヘリにもたれながら島の様子を眺めていると、船体に大きな衝撃が響いた。


「海に何かいるぞー!」

「とと…闘魚の群れざます!島に近づきすぎたのざます!軍艦も沈める殺人魚ざますよ!」

「えーーー!!!」


プチパニックを起こす彼らを見て思う。あれ、これドフラミンゴにバレたら終わりじゃないの。
揺れる船の上でなんとか落ち着けと言うがもう遅い。
背後、いや上空からものすごい勢いで迫ってくる殺気に振り向けば、ドフラミンゴが飛んで来た。
そりゃそうだ。
同じ七武海相手取る前に弱いの先にやっつけてしまいたい気持ちはすごく分かる。しかも自分の仲間を囚われたとあらば。


「なにこの悪夢!私たち死んじゃうの!?何とかして嘉識!!」

『お呼びとあらば。』


武装色を脚にまとい、船体を強く蹴り上げ宙を駆けると、きらきらと太陽の光に反射しているものに気づいて刀をアッパースイングさせた。


『初めましてじゃあないんだから知らない訳ないだろう。』

「フッフッフッ!ワニ野郎と仲良くしてた餓鬼か!そういや麦わらの仲間だったんだな。」


そのまま上昇の勢いを緩めず、刀で突きを繰り出すがするりと避けられた。


「五色糸!」


爪先から伸びた糸がぎらりと光りながらこちらに向けられたのを刀の面で防ぐ。
さてここで一応言っておきたいのだが、俺はこうやって水面を駆けることも宙を駆けることもできるのだが、ずっとは駆けていられない。
一度止まれば踏み台がない限り方向転換や再スタートはできないのだ。
つまり落下するしかないっていうのが今の現状。防御に移されることで宙をかける脚が止まったのだ。
しなる鞭のようなものが彼の左手から伸びているのが見える。逆光で表情は見えないがおそらくあの得意げな顔だろうと容易に予想できた。


「嘉識避けて!!」

「逃げろー!」

『そんな無茶な。』

「フッフッフッ、冷静じゃねえか!」


そりゃ、見知った気配のおかげですとも。


「オイ!泣いて嫌がるうちの仲間に!近寄んじゃねェよ!」


空から君が、

(さながらヒーロー)




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