03





「父さんや母さんはずっと闘っていた、理不尽な世界の中でずっと闘っていたんだ。
僕はたとえこれが親の復讐という名の自己満足だとしても、それでもどうしても許せない、だから僕は、闘う。」


もう暮れそうな夕日が兄さんを照りつける、綺麗で、消えそうで、泣きたくなる。おいていかないで。


『…俺も闘う。』

「何言ってるんだ…、駄目に決まっているだろ。」

『どうして、兄さんはよくてどうして俺はダメなの。』

「それは、嘉識がまだ子供だから…。」

『俺は嫌だよ、ただ小さな子供だからって言って後悔するのは。』

「嘉識……、」


俺は誰かを盾にしなきゃ生きられない、存在意義が見出だせない臆病者、たとえそれが、盾になるのが身内だとしても。
誰かを盾にして、そうしてその盾を理由にして言い訳にして護るって卑怯な生き方をしてきたんだ、今更覆すことなどできない。
子供だから、だなんて甘ったるい言い訳で殺人鬼が止まるわけない。


『俺は、独りなんて嫌だ。兄さんがいないと、俺は…、』




依存しているんだから、さ。




「っ、ごめん、嘉識!僕ひどいことをしたよね!僕も独りになりたくないよ、だから、僕が絶対護るから、いっしょに闘おう?」


護るから、護るから、………はい綺麗事?
うん、綺麗事だけでは生きていけないけど、俺が叶えるから問題ない。兄さんは綺麗に、俺は反面で殺人鬼、血に汚れておけば兄さんは綺麗なまま。
ほら、これでいいじゃん。
だから、


『兄さんマジ大好き。』


とりあえず笑っとこう、俺。



いくら透明を集めても君にはなれない

(兄さんを悲しませるものは全部全部全部、)("破壊世界"がぶっ壊してやんよ)





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