03




「――いっ、おい起きろ!」

『ん、』


頭ががんがんする中、目を覚ますと見知らぬ牢屋にいた。いやまあ何がどうしてこうなったかというと、弁当持って冒険組のルフィ、ゾロ、ウソップ、ロビンを見送り船で待機していたら睡眠ガスが充満していて、ガスマスクかぶった奴等が乗り込んできたものだから息を止めて何人か斬っていたものの後頭部を硬いものでぶん殴られて気を失ったのだった。
というのがあらすじ。


『だからこんな後頭部血がついてて頭がんがんするわけ。』

「落ち着いて喋っている場合じゃねェだろうが!」

「今手当てしてやるからじっとしてろよ!」


ドロリとした感覚が首筋を伝う。
その様子を見て慌てたフランキーに抱えられチョッパーに手当てされる。
丁寧に頭に包帯が巻かれる様子を見て器用なもんだと思った。
視線を動かし周りを見渡すと船に残ったメンバー全員…いや歌舞伎顔の生首がいるぞ。


『ブルックが生首になった?』

「どう考えたらそうなるのよ!ブルックはきっと置いていかれたんだわ。」

『じゃあこの生首は?てかどうやってそれ生きてんの。』


生首は斬られてなお生かされる恥を晒しながらも今はやり遂げなければならないことがあるといきり立つ。
生首の話じゃあこの島は氷の島ということに疑問を感じたが、ナミの説明によればこの島は半分炎の島、半分氷の島という構造らしく納得した。そんな不思議な島今更驚く理由もない。
さて俺たちもこんなところにいる義理はないのでさて出ようとしたが、壁も格子も硬くちょっと叩いたり蹴ったりした程度じゃビクともしないのが問題。
その様子を見たフランキーがどいてろと言い壁の前に立って、両手を壁に向けて構えた。


「ラディカルビーーーム!!」


ビームだ、ビームが出た。
あの海軍のロボみたいなビームをフランキーも出せるようになったとは驚きである。チョッパーもはしゃいで俺もビーム出したいと言っているのを見て想像したらヒーローっぽいなと思った。
よくある特撮の、ヒーローと巨大怪獣戦に登場するびっくりどっきりメカみたいなロボット。
溶かすようにして開けた穴をくぐり抜けて脱出開始するが、サンジの手には生首が。


「お前どうすんだ。俺たちが海賊じゃなきゃいっしょに逃げたかったんじゃねぇのか?」

「黙れ!行け海賊!」

「一人で首だけで逃げられる見込みはねェだろう?なァ、ワノ国の侍!!」

『…ワノ国、』

「おれ達はお前に斬られた奴からの緊急信号を受けてここに来る羽目になったんだ、侍!」

「――拙者、己を恥じる様な人斬りはせぬ!この島に!息子を助けに来た!!邪魔する者は何万人でも斬る!!」


鬼気迫る表情で言ってのけたその言葉に嘘偽りは見当たらず、本当にそのために、覚悟を持ってきたことが感じられた。
きっと俺が知っている国ではない、それでもほんの少しだけ、期待してしまう。
どんな国か、どんな様子か、零崎は知っているか、問いたいことはたくさん浮かんできたが吐き出さないようにぐっと口をつぐむ。サンジは責任は自分が持つと言って供に脱出し始めた。


なまぬるい感情が行き来する

(誰も彼も非情になれない)




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