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【青キジside】

話しても構わないかという問いかけに素直に刀をおろす。素直なのはいいことというが、殺意だだ漏れもどうかと思う。言葉一つ間違えれば全員この場で殺される。
ぴりりとした緊張感の中、この一味が誰も知らないこの少年のことを話し始めよう。でなきゃ、この少年はずっと抱え込み、きっと爆発してしまう。自分が心配する義理もないのに、なんだか気になるのだ。危ういこの男が。

金獅子のシキに島をつぶされるまでの話。 この少年が、何のために海に出たのか。
元海軍である父親と島民である母親の間に生まれた嘉識という少年には2つ上の兄がいた。島は金と権力に支配されており、元職場の不甲斐ない話は気が進まないが、海軍すら買収されてしまっていた。そんな状況の中、父親と母親は自警団を設立し反抗勢力として抗っていたが、そんなもの偉い人間からすれば邪魔でしかなく、雇われ山賊に殺されてしまう。
その後兄が跡をついで、革命軍として戦いに身を投じるようになり、嘉識もその一員として働いていて、街を襲う海賊や山賊を討伐したり、その権力者と小競り合いを起こしていく。

そんな日常のある日、ある海賊が現れた。
ま、分かるだろう、それがお前らだ。
街を襲わなければ自警団としては別にちょっかいかけるつもりもなかったんだろうに…。

だが、運悪いことに自警団が武力行使をするXデー、お前らはターゲットの家にいただろう。
…覚えがあるって顔してるじゃないの。
そしてお前ら、侵入してきたのは賊だ、助けてくれ、とかなんとか嘘つかれてとっちめちまったわけだ。殺さず、捕まえる程度。
少年はこれは知らなかっただろうが、ま、でもお前らが殺したことに変わりはないんだよなぁ。
お前らが出港したあと、捕まった自警団は次々その権力者どもに皆殺しされ、舘は証拠隠滅のためにどーんと爆発、全員死んだらしい。それを目の当たりにした。
あの島にその後金獅子のシキが上陸して、お前らも知っている実験を行うんだが、こいつは生き残った。そして金獅子に拾われて、って感じだな。

で、その殺された自警団の中には、もれなく少年の兄ちゃんもいたわけ。
ん?知らなかった?…そりゃあな。
だけどよ、殺さず、としても結局殺す要因を作っちまったんだ、そしてたまたまその弟とかかわりを持ってしまった。結果論だろうけどよ。
自分たちは悪くないなんて、この少年の目の前で言えねぇよなぁ?


蹴りたい踏みたい殴りたい

(全部全部受け止めて)(そして殺したい)




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