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「全魚人島島民、おれは魚人街の新魚人海賊団船長ホーディ・ジョーンズだ。この国は一度崩壊しそして生まれ変わる!新しい王はおれだ!人間との友好を望む者はこの国から消えろ!直に魚人街から、人間を嫌い、この島の変改を望む新しい住民達がここへ移住して来る。
お前たちは見たはずだ、大好きなオトヒメ王妃の死を!人間を信じて歩みよっても、人間はまたお前たちを裏切るだろう!なぜそれがわからねェ!!お前たちはネプチューン一族に唆され、死へ続く道を歩かされているだけだ!!目を覚ませ!!かつての大騎士ネプチューンも歳をとった!」


島全土に国王が縛り付けられている姿が映し出される。


「そして最後に魚人族の怒り、アーロン一味の野望を砕いた人間、麦わらの一味よ、国王の処刑が終わる頃、その下等な生物は水に浸かって死ぬ。懸賞金4億ベリーの麦わらのルフィ、お前達の首は、地上の人間への見せしめにちょうどいい!さぁ!旧リュウグウ王国の大掃除を始めるぞ!!3時間後、この国にはプライドある魚人島に生まれかわる!!」


檻に閉じ込められたゾロ、ウソップ、ブルックが映し出され、そして最後に王のいる広場で横たわる嘉識が映し出された。


「そして、この人間は俺たちが頂く!お前らより上手く使ってやる!せいぜいあがけ!下等種族ども!!」


喧騒が聞こえてゆるりと重い目蓋を開けばカラフルな肌の色の魚人等がいて、例の国王らが縛られているではないか。
…ああ、そうか、水中戦で負けたのか。
軋む体を起こそうとすると背中をかかとで踏まれ、ぐっと息の詰まるような感覚になる。


「ようやくお目覚めか殺人鬼。」

『、しつこいなあんた。』

「別にこのまま踏みつぶしてやってもかまわねぇ。たとえお前がいなくても俺たちは人間どもに怒りを、恨みを、憎しみを力をもって知らしめてやるだけのこと、俺たちこそが魚人族の怒りだ!」

『―――それだ、』

「ん?」


そもそもなんでこいつらの仲間になりたくないかって好き嫌いも理由の1つだが、根本的に合わない感じがしていた理由が今わかった。


『怒り?憎しみ?大層な大義名分を持っているが、自分がされたことを1つも語りやしないその矛盾。憎しみを持つことがどんなことなのか本当に知っているか、身を焦がすほどの怒り、頭が沸騰するほどの血の流れ、我を忘れるほどの暴力、その感覚を知らないやつに、空っぽなくせに、憎しみがわかるわけない。説得力もない言葉に誰がついていくだろうか。
―――――憎悪が何なのか俺が教えてやる。』


思い出された情景に目がぎらつく、痛みが感じられなくなる。
あまりの迫力に一瞬ホーディはたじろぎ、足をどけた瞬間ゆるりと刀を持ち起き上がる。鬼気迫る表情を見て、ホーディは彼を支配下に置くことを諦めた、化け物じみたこの少年を制御できそうにないと本能で察した。


「仕方ねえ、むざむざと殺されようってんなら止めやしねえ!!やっちまえ!!」


『―――――零崎を、開戦する。』 


襲い掛かってくる魚人、人間を斬り伏せていく。
全部がスローに見えて何も聞こえないような世界で、ただひたすら自分の呼吸の音と鼓動の音だけを聞きながら無意識に体を任せる。自分の背後でホーディが王族を攻撃していることすら俺にはどうでもいい。守るだなんて二の次。
何も知らないやつが、自分を正当化してるだけの奴が、怒りを語るな、世界を恨むな。この憎しみも怒りも誰もわからなくていい。
しかし、そんな時間も長くは続かず、広場に悲痛な叫びが響いたと同時に見知った気配が横をすり抜けていき、一瞬でホーディが殴られる光景が目に映った。


奥底で響くような叫びを

(誰にも聞こえやしない)





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