04
分けてもらったしゃぼんを装着して海の中の様子を伺うとなんと驚くことに魚人を圧倒しているゾロ。魚人より早く水中で動けるとかどんな動きしてんの。
これは心配ないかもと思っていると、何やら周りの魚人たちが薬を飲み、パワーアップした模様。
この嫌な感じを察した国王が、いち早く動いて水の道を作り出して他の兵たちを逃がし、自分等もクジラに乗っていざ脱出しよう。
―――そう思っていたのだが。
「ぬっ!?」
『うえ、』
「!!国王様!」
「戻ってはならん!フカボシたちを連れてこい!!」
『(さすが王様。)』
だが、感銘を受けている場合ではない。
あとちょっとのところで例の魚人に捕まってしまって、周り一帯囲まれてしまった。ゾロに至っては限界らしい、息がもう。
「おい嘉識!なんとかならねえか…!」
『俺は今こうやって息は持っているけど、けど、泳げないのは泳げない…!』
「さて、お前には用がある、殺人鬼。」
『ふーん、でも俺島入る前に断ったじゃん。』
「よく考えろ、俺たちといれば人間を今より殺せる。」
『わあ嬉しい、だなんて言わないよ。好き嫌い激しいから。それに、あんたらも一応人の文字を冠する種族なんだろ、対象外なわけないだろう。例外なしだから。』
威嚇の意味で彼の目を見つめて笑うと、こちらの零崎の殺意が伝わったのか一瞬目を見開いたものの、すぐにやりと笑う。
「……あまり生意気なこと言ってるとどうなるか分かってんだろうな?」
『知ったこっちゃない。』
「そうか、ならば、力尽くだ―――」
刀を構えて突進してきた彼の持つ銛を受け止めたら、そのまま突き進み成す術なく踏ん張りすらなく勢いよく岩に背中から叩きつけられた。
肺から空気がなくなり、目の前がちかっと白くなる。
そして、咳き込む暇なく銛が腹に突き刺さった。
泳げないんだから。無理なもんは無理だって。
『げほ、ぅ、え、』
「立場が分かってねえようだ。」
腹が熱く痛く、水中に混じっているのをぼやけた頭で感じながらとりあえず中指突き立ててやったらみぞおちに膝を入れられて、今度こそ意識がぶつんと途切れた。
もがいても足掻いても変わらない
(だったらやりたいようにやらせて)
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