02




走る先から金属音、雷の音、喧騒が聞こえてくる。出遅れってやつだろうか。
一際大きな矛がちょうど彼らに襲いかかろうとしているのが見えた瞬間、隣にいたゾロが大きく踏み込んで地を蹴った。


「ゾロ!」

「お前、牢獄にいたんじゃ…」

「祭囃子が聞こえてきたんで…出てきた!!」

「嘉識さんも!無事だったんですね!」

『まあね。』


ここまで来れたのは奇跡に近いがゾロの闘争への動物的勘というやつだろうか、迷子にならなかった。襲いかかる兵たちの足払いをしながら彼らの出方を見る。
どこまでやるのか、逃げるのか、完全反抗か、俺では判断できないから。
しかしあれよこれよと兵たちを倒していく様子を見ると…いや、ウソップが逃げようとか言ってるのが聞こえる。
しかし戦力は圧倒的に俺たちが上回ってしまっており、片っ端から倒していく。


『………で、こっからどうすんの。未来の俺たちがこの国を滅ぼすって言われてもピンと来ないけど。』

「だから抵抗したんだ!なのに、いくらなんでもやりすぎだ!」

「そうですよ!ちょっと反省してください!」

「おめェらが始めた戦いだろうがよ!共犯だバカ野郎!!」

「俺たちァ威嚇して逃げるつもりだったんだよ!」

「やっちまったもんはしょうがねェじゃねェか!ガタガタ言うな!!」

『んん、確かにどうしょうもない。抵抗した時点で、武器を向けた時点で敵対海賊に値するよ。』


結果、あっという間に占拠。めでたく国王軍を縄で縛る暴挙に出た極悪海賊というわけ。 ああでもないこうでもないとまとまりのない話をのんびりぼんやり眺めていたらチャイムが鳴った。
それに対してゾロが我が物顔で勝手に応答する。


「私です!フカボシです、そちらで何か起きているのですか?今すぐに連絡廊を下ろし、総門と王宮の御門を開けてください!」

「開けたらどうなる、そいつはできねえ!」

「麦わらの一味のどなたかでしょうか?」

「フカボシ!そやつは麦わらの一味の三刀流剣士、懸賞金1億2千万ベリー!海賊狩りのゾリじゃ!!」

「ゾロだよ!!」

『惜しい。』

「――聞こえたろう。ネプチューン含めこっちには大量の人質がいる。こいつらの命が惜しけりゃあそっちで俺たちの出航準備を整えろ!」


なるほど、人質。
だがこれをやってしまえば本当に俺たちは極悪海賊に認定される。
これは今はたして得策なのかなんて俺にはどうでもいいし分からないけど、だけど、承諾した王子が言っていたジンベエからの伝言。
ホーディと戦うな、海の森で待つというこの2つの伝言は気になる。ホーディって誰。


釈放されたい

(おお神よ)(これ以上厄介事は御免だ)




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